実践!事業承継・自社株対策
受取配当の源泉徴収義務(税制改正)【実践!事業承継・自社株対策】第171号
2023.10.19
Q 私は数年前に、父から会社を承継するに当たり、持株会社を設立し、銀行から資金融資を得て、事業会社の全ての株式を私の会社が所有することになりました。
この融資の返済は事業会社からの配当金を原資にしています。
さて、今年も令和5年10月に中間配当を支払う予定です。
税制改正で配当の源泉について何か改正があったと聞きました。どのようなものでしょうか。
A 令和4年の税制改正で、令和5年10月1日以後に支払いを受ける配当については、一部の相手先について、所得税の源泉徴収が不要となりました。
源泉徴収が不要となるのは、以下のいずれかの場合です。
1.完全子法人株式等に該当する場合
この場合は、発行済株式の全部を、配当の計算期間中、継続的に所有している必要があります。
2.発行済株式の3分の1超を、配当の計算期間の末日に所有している場合
注意点としては、2番はいわゆる関連法人株式等の要件と似ていますが、源泉不要の対象は、所有期間の要件がありません。
そもそも会社間の支配関係が強い場合、受取配当金は法人税法上、益金(収入)から除かれるため、源泉徴収がなされても、決算時に還付されることが多くありました。
このため、税務署・会社双方の事務処理の軽減や、還付加算金の支払いの軽減が、税制改正の理由となったようです。
ご相談者の場合、完全支配関係が数年前から継続してあるため、事業会社から10月1日以後に受け取る配当金は源泉徴収がされず、以前よりも早期に源泉分の資金の取得が可能となります。
《担当:税理士 青木 智美 》
編集後記
先月コロナにかかり、周りでは数日で元気になってゆかれる方を多く見ていたので油断していましたが、1か月たってもなかなか咳がとまりません。
いきなり咳き込んでも白い目でみられることはなくなりましたが、生活自体は大変ですね。
今年はインフルエンザも流行するようなので、本当に気をつけたいです。
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