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一般社団法人を活用した相続税対策【実践!事業承継・自社株対策】第172号

一般社団法人を活用した相続税対策【実践!事業承継・自社株対策】第172号

2023.10.26

Q 会社関連で行っている公的な業務を行う一般社団法人を設立しましたが、相続税対策も兼ねて、一般社団法人に当社株式を譲渡しようと考えています。

数年前に一般社団法人による相続税対策を封じる税制改正が行われた、と記憶していますが、どのようなものでしたか?

A ご質問の税制改正は、平成30年度の税制改正かと思われます。

同年度の税制改正においては、特定一般社団法人等に対する相続税の課税制度が創設されています。

この制度は、一般社団法人等の理事が亡くなった場合に、その一般社団法人等が特定一般社団法人等に該当するときは、その一般社団法人等を個人とみなして、相続税を課税する制度です。

特定一般社団法人等とは、次のいずれかに該当する法人です。

1.相続開始の直前における同族理事数の理事の総数に占める割合が2分の1を超えること

2.相続開始前5年以内において、同族理事数の理事の総数に占める割合が2分の1を超える期間の合計が、3年以上であること

対象となる理事は、亡くなったときに理事であった者だけでなく、理事でなくなった日から5年を経過していない者も含まれます。

相続税が課される財産の額は、その特定一般社団法人等の純資産額を、相続開始のときにおける同族理事の数に1を加えた数で除して計算した金額に相当する金額とされます。

この金額を当該被相続人より、遺贈により取得したものとみなして、相続税が課されることになります。

なお、上記の規定は、非営利型以外の一般社団法人等に適用されるものであり、公益社団法人や公益財団法人、非営利徹底型の法人には適用されませんので、ご注意ください。

《担当:税理士 北岡 修一 》

編集後記

一般社団法人等に関して、上記改正はあったものの、同族以外の理事が過半数いれば対象外となること、同族理事が多ければ課税される金額は少なくなること、同族の中でも若い人が理事になっていれば、課税が起こる確率は少なくなることなど、まだまだ一般社団法人を活用することは可能なのかと思います。

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