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一般社団法人に株式を譲渡する場合の価格【実践!事業承継・自社株対策】第176号

一般社団法人に株式を譲渡する場合の価格【実践!事業承継・自社株対策】第176号

2023.11.23

Q 私が経営する会社の株式を、当社の関連で数年前に設立した一般社団法人に売却しようと思っています。

私は会社の約80%の株式を所有しており、いずれは長男に事業承継する予定です。
また、一般社団法人は当社の役員が理事長で、その他の理事は外部の方で運営しています。

一般社団法人は持分がないので同族関係者でもなく、また、理事も同族関係者以外の者がなっていることから、配当還元価格で売却しても良いかと思っていますが、いかがでしょうか?

A 個人が法人に対して著しく低い価額で譲渡した場合は、時価で譲渡したものとみなして譲渡所得が課されることになっています。(みなし譲渡)

この場合の時価とは、不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に、通常成立する価額をいうものと解されています。

貴社のような同族会社の場合、そのような自由な取引が行われていることはないかと推察します。

また、そのような状況でなくても売り手と買い手の間で、自由な交渉を経た結果の価格であれば、客観的な交換価値を反映する時価であるともいえます。

ご質問の状況では、配当還元価格で売却することが予定されていることから、上記のような交渉で決まる価格でもないかと思われます。

このような場合において、ご質問者の場合は約80%の株式(議決権)を保有していることから、中心的な同族株主となり、財産評価基本通達でいう「小会社方式」で評価した価額を時価とすることになります。

小会社方式は、類似業種比準価額と純資産価額を1/2ずつ取って評価する方式です。

また、純資産価額の計算においては土地や上場有価証券は時価で評価することになり、時価と簿価の差額に対する法人税相当額は控除することができません。

譲渡価格として予定している配当還元価格が、上記の小会社方式の価格の1/2を下回る場合は、小会社方式の価格により譲渡があったものとみなされることになります。

同族会社の株式の譲渡価格は、慎重に検討する必要があります。

《担当:税理士 北岡 修一》

編集後記

一般社団法人に関しては、持分がないため同族関係者ではないので、ということで勘違いが多いような気がします。

一般社団法人といっても法人でありますし、本文のみなし譲渡は、譲渡する者の譲渡前の状況で判断する、ということも抜け落ちているのではないかと思います。

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