実践!事業承継・自社株対策
5%未満の同族株主は、配当還元評価でよいか?【実践!事業承継・自社株対策】第178号
2023.12.07
Q 当社は、私どもの同族グループで30%以上を持つ、非上場株式評価上、いわゆる「同族株主のいる会社」です。
同族グループ内の株主であっても、議決権割合が5%未満で、当社の役員でなければ、配当還元方式で評価してもよい、と考えていますが、それでよろしいでしょうか?
A 取引相場のない株式の相続税評価においては、ご質問のとおり、まずは同族株主のいる会社か、いない会社かに分けて、その評価方式を判定します。
御社のように同族株主のいる会社であれば、同族株主以外の株主の評価は、特例的評価方式である「配当還元方式」で評価することになります。
同族株主は、基本的には「原則的評価方式」になります。すなわち、純資産方式や類似業種比準方式により評価します。
ただし、ご質問のように同族株主であっても、議決権割合が5%未満の場合には、配当還元方式で評価できる場合があります。
ただ、この場合には1つ前提条件があります。
それは、中心的な同族株主がいる必要がある、ということです。
そしてその、中心的な同族株主に該当せず、かつ、役員および役員就任予定者でなければ、配当還元方式で評価することができます。
では、その中心的な同族株主とは、どういう株主をいうのでしょうか。
中心的な同族株主とは、同族株主一人ひとりについて、自分を中心に次の者が持つ議決権割合の合計が、25%以上である場合のその株主、をいいます。
・本人
・配偶者
・直系血族
・兄弟姉妹
・一等親の姻族
・一定の法人
このような中心的な同族株主がいない場合は、議決権割合が5%未満であっても、原則的評価方式になってしまいます。
中心的な同族株主がいるかどうか、よく確認することが重要です。
《担当:税理士 北岡 修一》
編集後記
多くの同族関係者で株式を保有している場合、注意していないと中心的な同族株主がいない場合があります。
すなわち、絶対的な議決権を保有している株主がいないため、同族株主皆にそれなりに力があるものとみなされる、ということでしょうか。
そのため、ほぼ経営に携わっていない同族株主も、評価の高い原則的評価で評価されてしまうことになり、相続が起こったときなど、理不尽な高い相続税になってしまう可能性があります。
このような会社は是非、日頃からお気を付けいただければと思います。
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