実践!事業承継・自社株対策
土地保有特定会社の判定【実践!事業承継・自社株対策】第180号
2023.12.21
Q 当社は従業員5人以下の不動産賃貸業で、相続税評価上の区分は、小会社になります。
ただ、所有する不動産の評価額が、かなり高くなっています。
土地の割合が高過ぎると、株式の評価は純資産評価のみで評価されるとのことですが、小会社の場合は対象外とも聞いていますが、どうなのでしょうか?
A ご質問の件は、「土地保有特定会社」のことかと存じます。
総資産のうちに占める土地の割合(相続税評価ベース)が、一定割合以上になると土地保有特定会社となり、その会社の株式の原則的評価方式は、純資産評価のみで行うことになります。
土地という資産の価値に着目して、会社の株式を評価する、ということです。
この土地保有特定会社になるのは、土地の占める割合が会社規模が大会社の場合は70%以上、中会社の場合は90%以上、小会社の場合はご質問のとおり原則対象外、となっています。
ただし、小会社でも総資産の額が、大会社や中会社と同規模以上の場合は、土地保有特定会社に該当してきます。
具体的には、総資産が次の額以上である場合です。
・大会社規模=卸売業20億円以上、その他業種15億円以上
・中会社規模=卸売業7千万円以上、小売・サービス業4千万円以上、
その他業種5千万円以上
大会社規模の場合には、土地の占める割合が70%以上
中会社規模の場合には、土地の占める割合が90%以上
となると、小会社でも土地保有特定会社に該当してしまいます。
なお、この土地には借地権なども含みます。また、土地は所有目的や所有期間を問わず所有するすべてのものが含まれます。
ただし、建物などは含みません。
小会社であっても、総資産が相続税評価ベースでいくらになるのか計算して、上記の大会社・中会社規模になるかどうか、確認してみてください。
《担当:税理士 北岡 修一》
編集後記
先日、令和6年度の与党税制改正大綱が発表され、事業承継税制の特例承継計画の提出期限が、2年間延長されて令和8年3月末までとなりました。
現在検討している方は、少し余裕ができましたが、事業承継税制の特例措置の適用期限は、令和9年12月末で変わりはありませんので、適用を考えている方は、それに向け計画的にやっていかないといけないですね。
さて、今年も残り10日となりましたが、本メルマガは年内本日が最終となります。本年も1年間お付き合いいただき、誠にありがとうございます。
また、来年以降も皆様のご質問中心に書いてまいりますので、引き続きお付き合いの程、よろしくお願い申し上げます。
是非、皆様、良いお年をお迎えください。
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