実践!事業承継・自社株対策
無対価合併を行うには?【実践!事業承継・自社株対策】第196号
2024.04.25
Q 当社は、代表である私と妻、後継者である息子が、100%株式を保有する会社です。
この度、子会社を吸収合併しようと考えていますが、子会社は、当社が約60%で残り40%は、上記株主と当社の役員(親族外)が保有しています。
合併にあたっては、株式を発行しない無対価の適格合併をしたいと思っていますが、どのようにしていけばよいでしょうか?
A 無対価の適格合併については、本メルマガ第175号(2023/11/16)にも書いておりますので、こちらも是非、ご参照ください。
適格合併の要件は、親会社と子会社の関係性によって変わってきます。
最も要件が少ないのは、完全支配関係がある場合で、この場合の適格要件は、以下の2つとなります。
1.金銭等不交付要件
2.継続保有要件
合併にあたり被合併法人の株主に金銭を交付しないこと、完全支配関係を維持していくことが要件となっています。
ご質問のケースは、子会社の株主に親族外の役員がいるとのことで、完全支配関係ではなく、50%超の支配関係となっています。
この場合には、別途次の要件が加わってきます。
3.事業移転要件
4.事業継続要件
(詳細の説明は省かせていただきます。)
ご質問では、株式を発行しない無対価の適格合併で行いたいとのことです。
無対価で行えれば、合併比率などの算定を行う必要がなくなるメリットがあります。
ただし、無対価で行うためには次のいずれかである必要があります。
・親会社が子会社の株式を100%保有していること
・親会社と子会社の株主構成が同じであること
現状はそのような状態ではないため、合併前に次のような方法を取ることが必要となってきます。
A.親会社が100%子会社にするため、他の株主の株式を買い取る
B.同じ株主構成にするために、親会社の株主が他の株主の株式を買取る
現実的には、Aを行う方が容易かと思われます。
100%子会社にすることで、完全支配関係がある場合の適格合併にもなり、適格要件も減ることになります。
ただし、会社が個人の所有する株式を買取る場合は、その買取価格に注意する必要があります。
低い価格で買取りをした場合などは、親会社に対する受贈益課税、売却した個人に対して時価課税が行われる可能性があります。
買取価格に関しては、専門の税理士にご相談することをお勧めします。
《担当:税理士 北岡 修一 》
編集後記
気づいてみると今週末からはGWなのですね。
ただ、間に3日平日があるので、そこをどうするかでGWの活用が大分変ってきますね。大型連休にしてもいいし、普段できないじっくりとした仕事や勉強をしてもいいし、もう皆様計画されているのでしょうね。
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