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経営に関与しない親族である少数株主【実践!事業承継・自社株対策】第205号

経営に関与しない親族である少数株主【実践!事業承継・自社株対策】第205号

2024.06.27

Q 当社は、代表である私が約70%の株式を所有しており、その他は妻が10%、叔父、叔母たち3人が各6~8%程度の株式を持っております。

叔父、伯母たちの相続が起こったときには、その株式の評価は、親族であるから、やはり高い評価になってしまうのでしょうか?

当社は私が3代目で70年の歴史があり、純資産額はそれなりに多く、業績も良いので株価は高くなっております。

なお、叔父や叔母たちは経営にはまったく関与しておりません。ただし、配当だけはしております。

A 親族で30%(50%以上の同族グループがある場合は50%)以上の株式(議決権ベース)を保有している場合、その親族の持つ株式の相続、贈与における株式の評価は、原則的評価方式が基本となります。

原則的評価方式は、純資産方式あるいは類似業種比準方式を採用して評価することになりますので、純資産額が多く、業績が良好な状況であれば、その評価額は高くなってきます。

ただし、親族であっても原則的評価方式ではなく、特例的評価方式を使える場合があります。

特例的評価方式とは、配当還元方式による評価方法で、評価額は原則的評価よりも、かなり低く評価されるのが一般的です。

親族でこの特例的評価方式が使えるのは、次の場合です。

・議決権割合が5%未満であること
・中心的な同族株主がいること
・本人が中心的な同族株主でないこと
・役員または役員就任予定者でないこと

御社の場合は、ご質問者様およびその配偶者が中心的な同族株主であり、叔父様や叔母様は中心的な同族株主には該当しません。

また、叔父様たちやその相続人は役員ではないと思われます。

もう1つの要件である議決権割合が5%未満であること、というのは、現在の所有株式数では超えております。

ただし、この5%未満というのは、相続や贈与などで株式を取得した後の議決権割合で判定します。

たとえば、叔父様が8%の株式を持っているとして、これをその子2人が均等に相続したとすると、4%ずつ保有することになります。

そうなると議決権割合は5%未満ということになりますので、その子たちの相続税評価は配当還元方式で行うことができます。

1人の者が5%以上を相続した場合は、原則的評価方式を使うことになり、株価は高くなってしまいます。

なお、この5%というのは議決権割合で判定しますので、たとえば叔父様、叔母様たちが持つ株式を、配当優先無議決権株式に変更した場合は、議決権割合が0%となりますので、常に配当還元方式で評価されることになります。

経営に関与していないということですので、このような方法もあるかと存じます。

配当優先無議決権株式は、議決権がない代わりに、配当を通常の配当よりも高くする株式ですので、その方が叔父様、叔母様にも喜ばれるかも知れませんね。

《担当:税理士 北岡 修一》

編集後記

本文に中心的な同族株主という言葉が出てきましたが、その定義については特に説明していませんでした。
これについては、2021/10/14(第71号)に書いていますので、まぐまぐ、あるいは弊社のホームページで検索してみてください。

親族で分散して株式を持っている場合などは、この中心的な同族株主を明確にすることがとても重要になってきます。

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