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実践!事業承継・自社株対策

資産管理会社の設立【実践!事業承継・自社株対策】第207号

資産管理会社の設立【実践!事業承継・自社株対策】第207号

2024.07.11

Q 私は昨年会社を定年退職し、今までの貯金や退職金を資金源に、投資を始めようと思っています。

知り合いに資産管理会社を設立した方がおりますが、資産管理会社を設立するメリットは何でしょうか。

A 産管理会社のメリットは、所得分散や経費計上、資産の圧縮などにより、所得税や相続税の節税につながる、ということです。

ただし、これはご相談者様の状況や、投資額によって大きく異なりますので、誰にとっても節税効果があるわけではありません。

まずは、所得分散について解説したいと思います。
個人で資産を保有する場合、そこから生まれる所得は、当然、所有者に帰属し所得税がかかります。

一方、法人で資産を所有している場合は、法人の管理を家族で行い、それぞれが役員に就任することにより、役員報酬を支給することができます。

つまり、投資資産の所得全額をご相談者様お1人の収入として、累進課税による所得税を支払うより、法人を設立し、ご家族で役員報酬を得た方が、全体の税金が下がる可能性がある、ということです。

ただし、株式へ投資を検討されている場合には、個人の上場株式の配当や譲渡所得に対する税率は、約20%であり、法人税の実効税率約30%と比べて低くなる点に注意が必要です。

また、ご家族の皆様が会社勤務や他に所得がある方ですと、その所得に管理会社からの役員報酬が加算されますので、かえって所得税を増加させることがあります。

これを踏まえたうえで、経費計上について考えてみます。

法人の場合、個人では経費化が難しい役員報酬や保険料などの経費化ができます。

特に株式への投資では、株式管理用のパソコンを購入しても、配当所得や譲渡所得の経費とすることができません。一方、法人ではこれを経費化することができます。

所得税の節税についてまとめると、ご自身の所得税率や住民税率と、法人税率などを比較いただき、ご家族の状況、今後経費にできる金額、法人維持コストなどを検討いただく必要があります。

次に、相続税については、資産を個人が直接所有しているよりも、法人で所有している方が、次世代への引継ぎを、資産管理会社の株式を分けるのみで、比較的容易に行うことができます。

ただし、親族間の仲が悪いときは、会社を一緒に運営していくことが困難となり、その後に悪い影響が出てしまう可能性があります。

また、資産管理会社の株式の相続税評価額は、類似業種比準価額を利用することができますので、評価額が下がる可能性があります。

ただし、株式等保有特定会社や、土地保有特定会社に該当してしまうと、類似業種比準価額が使えなくなってしまいます。

まだ触れられていないところもありますが、上述の通り資産管理会社の設立の有利不利は、なかなか判断が難しいため、慎重に検討する必要があるでしょう。

《担当:税理士 青木 智美》

編集後記

梅雨から夏に向かっていくと、そろそろ台風の時期にもなってきて、交通機関の乱れが気になるところです。

ただ、在宅勤務もあり、以前と比べて働きやすい環境ができつつあるのかとは思います。

あとは、台風が災害クラスにならないこと祈るばかりです。

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