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社員を業務委託にした場合の株式評価方法【実践!事業承継・自社株対策】第209号

社員を業務委託にした場合の株式評価方法【実践!事業承継・自社株対策】第209号

2024.07.25

Q 当社は、従業員が約80名の不動産の売買や賃貸の仲介を行っている会社です。

従業員のほとんどは営業職ですが、今後は営業職の一部を独立させ、業務委託のような形を取っていこうかと考えております。

同時に事業承継のために、株式を後継者に段階的に移していくつもりですが、上記のような業務委託化は株価に影響を与えるのでしょうか?

A 株式の相続税評価に影響を与える可能性があります。

現在は、従業員数が約80名ということで、大会社となり、株式の相続税評価は、類似業種比準方式一本で評価することができるようになっているかと思います。

従業員数が70名以上の場合には、他の判定要素にかかわらず、類似業種比準方式で評価することができます。

その他に純資産方式がありますが、類似業種比準方式の方が株価は低くなることが多いです。

これが、業務委託化等により、従業員数が70名を切ることになると、総資産価額基準や取引高基準により、評価方法を決めていくことになります。

たとえ、従業員であった者の働く場所が変わらなかったとしても、業務委託になると従業員の範囲に入らなくなります。

従業員とは、雇用契約に基づいて使用される個人をいいますので、業務委託契約になると従業員にならなくなるからです。

では、70人を切った場合には、どのように評価されるかですが、総資産価額基準で判定した結果と、取引高(年間売上高)基準で判定した結果の、いずれか大きい方の会社規模となり、評価方法が決まってきます。

貴社は不動産業なので、卸売業、小売・サービス業以外の判定数値を使います。

この場合、まずは年間売上高が15億円以上あれば、現在と同じく大会社となり、類似業種比準方式一本で評価することができます。
この場合には、従業員数は関係ありません。

年間売上高が15億円に満たない場合は、総資産価額が、15億円以上あれば、やはり大会社となり、類似業種比準方式一本で評価することができます。

ただし、この場合には従業員数が35人超いることが必要です。

それ以下の場合には、上記3つの判定要素で会社規模を判定し、類似業種比準方式と純資産方式の折衷方式で評価していくことになります。

いずれにしても、従業員数が70人を切る場合には、株式の評価方法が変わる可能性がありますので、ご注意いただければと思います。

《担当:税理士 北岡 修一》

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