実践!事業承継・自社株対策
後継者以外が相続する株式の買い取り【実践!事業承継・自社株対策】第216号
2024.09.19
Q:私は父から会社を引き継ぎ、代表として経営をしております。株式はまだ半分以上は父が持っており、これは相続により引き継ぐ予定です。
ただ、株価もそれなりに高いため全部の株式を引き継ぐと、他の3人の兄弟の遺留分を侵害することになるため、兄弟にも株式を相続させざるを得ません。
その後、経営の安定のためにも株式を買い取りたいのですが株価が高いため容易ではありません。
何か良い方法はないでしょうか?
A:兄弟に代償金を支払うなどの方法もありますが、ご質問の内容ですと、それも厳しいのかと推測します。
そうであれば、兄弟にも株式を相続してもらい、その上で会社で株式を買い取ってはいかがでしょうか?
いわゆる自己株式としての買い取りですね。
通常、自己株式を買い取ると、買取金額のうち利益剰余金部分は配当として課税される、いわゆる「みなし配当課税」が行われます。
配当所得は総合課税となり、他の所得と合わせて累進課税になりますので、税負担が高くなる可能性があります。
ただし、相続後3年10か月以内に行われた自己株式の買い取りは、全額譲渡所得となる特例があり、譲渡益に対して約20%の税金で済みます。
さらに、その株式について支払った相続税を、譲渡益から控除できる「取得費加算の特例」も適用することができますので、他の兄弟にとっては有利な課税方式となります。
株価が高いということは、会社にそれなりの財産があるかと思いますので、この方法はマッチするのではないでしょうか?
個人の代わりに、会社が代償金を払ってくれるようなものですね。
《担当:税理士 北岡 修一》
編集後記
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