実践!事業承継・自社株対策
土地保有特定会社から外れるには?【実践!事業承継・自社株対策】第225号
2024.11.21
Q:当社は都内で不動産賃貸業を営んでいます。
建物も古いものが多く、昨今の地価高騰により土地保有特定会社に該当してしまったようです。
これに該当すると株価が高くなるとのこと。この特定会社から外れるためには、どのようなことが考えられますか?また、注意点があればそれも教えてください。
A:株式保有特定会社に該当すると、株式の評価は純資産価額方式のみで評価することになります。
すなわち、類似業種比準価額が使えなくなるため、株価が高くなる可能性が高いです。
土地保有特定会社(土地特)に該当するのは、総資産価額のうちに土地の価額の占める割合が、会社規模別に次の割合以上である場合です。
なお、これらの価額は相続税評価額によります。
・大会社 70%以上
・中会社 90%以上
・小会社
簿価による総資産価額が、大会社の規模 70%以上
同 中会社の規模 90%以上
それ以外 土地保有特定会社の対象外
なお、土地には借地権などが含まれますが、建物は含まれません。
この土地特から外れるためには、土地以外の資産の割合を高くすれば良いことになります。
貴社は不動産賃貸業で、建物も古いものが多いとのことで、必要に応じて建物のリノベーションや建て替えをしていくことが、まずは考えられます。
その際には借入金なども活用することで、総資産が増え土地以外の資産(建物や建物附属設備等)が増えていくことになります。
また、一部の物件を売却し、その資金をもとに建て替えを進めていくことなども考えられます。
これにより、土地が減り、建物等の資産や現預金が増えていくことになります。
ただし、土地特から外れたとしても、路線価が上がっていくと再び土地特に該当してしまうこともありますので、常にその割合には注意しておく必要があります。
なお、建物は通常、固定資産税評価額(評価が低い)で評価しますが、取得から3年以内は、時価(帳簿価額でも可)で評価することになります。
したがって、建物を建てた直後は評価が高くなっており、土地特から外れやすくなりますが、3年後には評価が下がり、再び土地特になる可能性があります。
この点も注意しておく必要があるかと思います。
もう一点注意点としては、課税時期(贈与時や相続時)前に、合理的な理由もなく資産構成に変動があった場合、その変動が土地特から免れるためのものであるときは、これを否認される可能性がある、ということです。
したがって、あくまでも貴社の事業目的に沿った合理的な施策の結果であることが重要となってきます。
《担当:税理士 北岡 修一》
編集後記
土地が70%あるいは90%以上というのは、なかなかないかと思っていましたが、これだけ路線価が上がってくると、結構該当する会社がありますね。
株式保有特定会社などもありますから、土地や株式が多い会社は常にその割合に注意しておく必要がありますね。
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