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比準要素数1の会社外しは適法か?【実践!事業承継・自社株対策】第226号

比準要素数1の会社外しは適法か?【実践!事業承継・自社株対策】第226号

2024.11.28

Q:私の会社は、インターネットで商品を売買しておりましたが、コロナが明けてむしろ業績が落ち始めてしまいました。
このままでは、2期連続で赤字になりそうです。また、同族経営のため配当も出していません。

この場合、類似業種比準価額の計算において、比準要素数1(純資産のみプラス)の会社になってしまい、純資産価額だけで評価しなければならないのでしょうか?

大株主の父も89歳になり、昨年入院しており、万一のことがあるかもしれません。
今から、配当を支払い、比準要素数1の会社にならないようにするのは税務上問題があるのでしょうか。

A:最近、ご相談者様と似たような事例の裁決がありました。国税不服審判所は、税務署の更正処分に対して納税者が行った審査請求を棄却しました。

当該事例の会社(以降A社とします。)は、ご相談者様と同様、比準要素数が1の会社でした。

つまり、株価計算にあたっては、類似業種比準価額25%、純資産価額75%で計算する必要がありました。

A社は4期連続経常損失を出している状況で配当を決定し、決算期の短縮も行いました。その直後にA社の株主の容態が悪化しています。

上記決定により比準要素数1の会社から外れ、納税者は株価を約21億円として申告しました。

その後、税務署は総則6項により、株価は約40億円であるとして更正処分を行いました。

審判所は、総則6項により国税庁長官の指示を受けて評価した価額(約40億円)とすることが、租税の公平に反しないかということを検討しました。

その結果、当該裁決では下記のような考えのもと、納税者の請求が棄却されました。

(1) A社の株価は、時価純資産法により計算可能であった。
(2) 税務署が算出した株価約40億円と、納税者が算出した株価約21億円に著しい乖離が存在した。
(3) 積極的な納税者の行動(決算期変更・配当の支払)により、租税回避があった。

これを踏まえると、赤字になっている状況から急に配当が実施され、その直後に相続があり、比準要素数1の会社から外れて評価した場合は、決算期を変えなかったとしても、総則6項によりその評価を否認される可能性が残るように思います。

節税以外の経済的合理性がなく、見せかけだけ要件を整えても、リスクはありますのでご注意ください。

《担当:税理士 青木 智美》

編集後記

ついに冬到来!

あまりにも急に寒くなったので、耐えられずダウンを着てしまいました。

今ダウンを着ていたら、本格的な冬を耐えられるのか心配ですが、どんどん忙しくなる中、風邪などひけないので、やむをえないですね。

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