実践!事業承継・自社株対策
2021年度税制改正大綱【実践!事業承継・自社株対策】第29号
2020.12.18
Q:2021年度の税制改正大綱が発表されましたが、中小企業の事業承継や自社株関連で、何か改正がありましたか?
A:細かいものを含めるといくつかありましたが、目新しいものとして、「経営資源集約化税制」の創設があります。
これは、中小企業のM&Aを後押しする税制です。
M&Aをした後に、売掛金などの債権が回収不能であることがわかったり、簿外の債務が発覚するようなリスクに備える税制です。
具体的には、買収額の一定割合を準備金として計上し、それを費用(損金)とすることができます。
この損金計上した準備金は、5年間据え置き、その後、5年間で均等に戻入れ(益金に算入)していきます。
買収後5年間は、リスクに備え税負担を抑えよう、という税制ですね。
この税制は、2021年に「中小企業等経営強化法」が改正されることを前提としています。
買収により生産性の向上が見込めること、一定のデューデリを行うこと、雇用の安定に配慮すること、などを盛り込んだ「経営力向上計画」の認定を受ける必要があります。
さらに、この税制では、同計画を実施するために必要不可欠な設備投資について、投資額の最大10%の税額控除や、即時償却も可能となってきます。
中小企業を再編し、生産性の向上を計っていこうという菅総理の思惑が反映されている税制と言えますね。
その他に、細かい点ですが、特例事業承継税制についても、改正がありました。
特例事業承継税制により、相続税の納税猶予を受ける場合、後継者は、相続直前にその会社の役員である必要がありました。
ただし、先代経営者が60歳未満で死亡した場合は、その限りではありませんでしたが、これが70歳未満に改正されます。
また、特例承継計画に特例後継者として記載されている場合には、役員でなくても納税猶予の対象になることも明記されています。
まだまだ、2021年度の税制改正大綱、十分に読み込めていませんが、また、関連する情報がありましたら、このメルマガに書いてまいります。
編集後記
お久しぶりです。税理士の北岡修一です。
このメルマガ、長い間、休刊してしまい、誠に申し訳ありません。
この度、再度発行していくことになりました。
今度は、Q&A形式として、弊社法人資産税チームの青木智美と共に、基本隔週で書いてまいります。早めにお伝えしたいときは
毎週発行することもあるかと思います。
いずれせよ、今後は定期的に発行し続けていこう、という覚悟で書いてまいります。
よろしければ、引き続きお読みいただければ幸いです。
今後とも何卒、よろしくお願い申し上げます。
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