実践!事業承継・自社株対策
非上場株式評価額は人によって違う【実践!事業承継・自社株対策】第3号
2019.02.15
おはようございます。税理士の北岡修一です。
事業承継・自社株対策をやっていくには、まずは自社の株式がいくらになるのか、自社株の評価額を知ることが必要になってきます。
株価がいくらであるかわからなければ、対策をするべきか、そうでないかもわかりません。
その前提として、非上場株式の評価額は、人によって違う、ということを知っておく必要があります。
非上場の株式は、上場株式のように市場で取引できるわけではありませんので、非上場株式を持つ意味は、会社を支配できるかどうかで、大きく変わってきます。
会社を支配できるかどうかは、議決権によって決まってきます。議決権の過半数を持っていれば、特別の議案でない限りは、思いどおりにすることができます。
そうなると、会社の支配権を持っていない株主にとって、株式を持っている意味は、後は配当を期待できるかどうか、ということになってきます。
そこで、非上場株式の評価は、支配株主=オーナー一族である株主(同族株主という)と、それ以外の株主で違ってくることになります。
この2種類の株主の評価は、次のようになります。
・同族株主の評価 → 原則的評価=類似業種比準価額方式または純資産価額方式、あるいはその折衷方式
・それ以外の株主の評価 → 特例的評価=配当還元評価方式
基本的には、原則的評価は高くなり、特例的評価は低くなります。
その評価方法は、後日お話ししていきます。
なお、これらの評価方法は、相続税法に付随する財産評価基本通達に基づく評価方法ですが、この方式は非上場株式の様々な場面における評価のベースとなっています。
では、同族株主とそれ以外の株主は、どのように区分するのでしょうか?
これを詳しくやると長くなりますので、基本的な部分だけお話しします。
まず、同じ同族グループ(親族等)で、議決権の30%以上保有しているグループがいる場合、そのグループは同族株主となります。
30%以上ですから、3つの同族グループがいる可能性がありますね。
ただし、1つの同族グループで、50%超議決権を保有しているグループがある場合は、そのグループのみが同族株主となります。
他に30%以上のグループがいたとしても、この場合は、同族株主にならない、ということですね。
上記によって、同族株主に入らなかった株主は、同族株主以外の株主となり、特例的評価=配当還元評価方式が適用されます。
では、同族株主グループに入った株主は、全員、原則的評価になるかと言えば、例外があります。
それは単独で5%以上の議決権を持っているかどうかで、変わってきます。
同族株主グループで、単独で5%以上持っている人は、原則的評価となります。
同族株主グループではあるけれども、単独で5%未満しか議決権を持っていない人は、配当還元評価方式になる可能性があります。
こことが、ちょっとややこしいところですが、5%未満の人でも、中心的な同族株主の方は、原則的評価になります。
中心的な同族株主でない方で、さらにその会社の役員でない方は、配当還元評価方式になる、ということになります。
中心的な同族株主の定義は割愛しますが、より会社の中枢に近い方ということですね。
その他、30%以上持つグループがない場合は、どうするかなど、ありますが、それは例が少ないので、ここでは割愛させていただきます。
多少、複雑な判定ではありますが、会社を支配できる方のグループに入っているかどうかで、株式の評価方法は違ってくる、ということを、まずはおわかりいただければと思います。
編集後記
早くも週末ですね。今週は連休があったため、非常に短く感じます。とは言え、この時期は確定申告に突入していく時期で、今週末はお客様回りをしようと予定しています。確定申告は個人の方なので、土日の方が却って、アポが取りやすいですね。道もすいているのでドライブがてらお客様回りをしてきます。
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