実践!事業承継・自社株対策
自己株式の買取り手続き【実践!事業承継・自社株対策】第30号
2020.12.24
Q:非公開の同族会社ですが、この度、株主の1人から株式を購入して欲しいとの申し入れがあり、会社が自己株式として買い取ることとなりました。
どのような手順で行っていくのか、教えてください。
A:特定の株主から、自己株式を取得するときは、いくつかの手順を踏んでいく必要があります。
また、自己株式の取得は、単なる株式の譲渡ではなく、株主が持つ会社の持分を払い戻す行為であり、払い戻し金額のうち、利益からなる部分は、配当金とみなされます。
そのため、税務面においても、注意をする必要があります。
以下、手順を簡単に説明していきます。
1.自己株式取得および株主総会招集のための取締役会
特定の株主から自己株式を取得すること、そのための株主総会を招集することを決議する、取締役会を開きます。
取締役会議事録を作成します。
2.臨時株主総会招集通知の発送
特定の株主から会社が株式を取得するときは、他の株主が、自らも売主に追加するよう請求できる「売主追加請求の項目」を入れた招集通知を出す必要があります。
株主総会招集通知書を作成します。
3.臨時株主総会の開催
自己株式の買取りについては、特別決議による必要があります。
また、特定の株主は、この決議についての議決権を行使することはできません。
株主総会議事録を作成します。
4.株主総会後、取締役会の開催
臨時株主総会後に、続けて取締役会を開催します。
ここで、具体的な自己株式買取りの内容を決めます。
<決めるべき事項>
・株式の譲渡の申込み期日
・株式買取り代金の支払予定日 他
※自己株式の譲渡の場合は、取締役会の譲渡承認は不要です。
取締役会議事録、自己株式取得事項の通知書、株式譲渡申込書等を作成します。
5.株式譲渡の申し込み
株主から株式譲渡申込書により申し込みを受けます。
6.みなし配当と源泉徴収税額の計算
自己株式の買取りを行う場合は、買取価格が資本等の金額を超えるときは、その超える部分の金額は、配当金とみなされます。
これを「みなし配当」といいます。
みなし配当部分の金額については、20.42%の税率で源泉徴収を行い、翌月10日までに納付する必要があります。
7.支払い、納付、名義書き換え
買取り代金の支払い、源泉徴収税額の納付、株主名簿の名義書き換えを行い、自己株式買取り手続きが終了します。
以上、おおまかな流れです。
その他、自己株式を買い取ることができる金額の制限、いわゆる財源規制にも、注意しておく必要があります。
編集後記
今年は26日、27日が土日で、28日を最終日にする会社が多いようですね。ただ、土日休んで最後の日に出てくるというのも、間があいてしまうので、28日は有給取得を奨励する会社も多いようです。
年間5日は有給休暇を取らなくてはいけないので、格好の有休消化日ということでしょうかね。
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