実践!事業承継・自社株対策
事業承継税制、代表権の問題【実践!事業承継・自社株対策】第36号
2021.02.11
Q:事業承継税制を利用して、株式の贈与をしていこうと思っていますが、株式を贈与した後でも代表権を持っておくことはできますか?
A:事業承継税制を活用するのであれば、株式の贈与前に代表権を譲る必要があります。
したがって、株式を贈与した後に、代表権を持っておくことはできません。
特例事業承継税制を活用すれば、後継者に対して株式を贈与した場合の贈与税の全額について、納税猶予の適用を受けることができます。
一定の要件を満たしていれば、贈与税はかからない、ということになります。
その要件の1つに、株式を贈与するときには、代表権を後継者に譲っていなければならない、というものがあります。
事業承継税制ですので、その事業承継をしたという証が、正に、代表権の移譲にあるわけです。
代表権の移譲をもって、事業承継が完了するので、株式の贈与税が猶予されることになります。
社長の座は譲っても、まだまだ不安があるため、代表権のある会長になっておけば安心、という方は多いと思います。
気持ちはわかりますが、株式が贈与された後では、それはできない、ということになります。
このような場合には、株式を贈与する前に、後継者も代表取締役に就任し、先代経営者も代表取締役のまま、数年間、承継期間を取ります。
その上で、株式を贈与する前には、先代経営者は代表権を返上した上で、後継者に株式を贈与します。
こうすれば、代表者としての経験も積んだ上、また、対外的にもスムーズに事業承継を行うことができ、納税猶予も受けることができます。
なお、株式を贈与した後も、先代経営者は代表権さえ返上すれば、取締役で残ることは可能です。相応の役員報酬を取ることもできます。
是非、不安のない事業承継ができるよう、十分に計画を立てて実行されるようご留意ください。
編集後記
今日は祝日でしたが、税務相談会があり、行ってきました。
緊急事態宣言も出ているので、来る人は少ないかと思ったら、結構いらっしゃいましたね。緊急事態宣言といっても、相続は発生するし、不動産の購入や譲渡もあるし、相談したいことはやはり多いですね。昨今はZoomなどでの相談も増えてきましたので、是非、相続・事業承継などのご相談がある方は、いつでもご連絡ください。
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