実践!事業承継・自社株対策
配当をする際の注意点【実践!事業承継・自社株対策】第54号
2021.06.17
Q 私はA社のオーナー社長です。この度、会社の業績もよかったこともあり、配当を出そうと考えています。何か注意することはありますか?
A 注意すべき点は、貴社の状況により異なりますが、大きく分けて3つあります。
1.自社株評価への影響
2.所得税への影響
3.法人税への影響
まず、1の自社株評価への影響です。
貴社が、自社株式を評価の際、類似業種比準価格を利用している場合、次のような注意点があります。
貴社の1株あたり配当金が、類似業種の1株あたり配当金と比べて高い場合には、株価を上げる要因となるため、注意が必要です。
少し余談になりますが、類似業種比準価格決定する際の比準要素には、配当・利益・純資産があります。
この3つの要素のうち、2つまたは3つの要素が0になると、純資産価額をベースとして評価することになり、評価が上がる可能性があります。
配当を出すことにより、これが避けられるのであればあえて配当を出すということもありえます。
次に、2.所得税への影響です。
非上場株式の配当を受け取った場合には、配当につき、源泉徴収が行われたうえで、個人の確定申告の際に、
総合課税で申告する必要があります。
上場株式の配当とは異なり、累進課税による課税になるため、所得税税額が高くなる恐れがあります。
ただし、配当控除を受けることはできます。
最後に、3.法人税への影響です。
オーナー社長が会社から受ける所得は、主に役員報酬と配当金があります。
役員報酬の場合は、一定の要件をクリアしていれば、法人の経費として計上することができます。
ただし、配当金の場合は、利益の分配であるため、法人の経費にすることができません。
2.や3.の影響も踏まえると、役員報酬と配当金のバランスが重要ということになります。
以上のとおり、配当する金額の大小や、今後、すぐに株式取引の予定があるかどうか、などを考慮しつつ、配当金の額を決定していく必要がありそうです。
《担当:税理士 北岡修一》
編集後記
コロナウイルスのワクチン接種が始まりましたね。
まわりでもだいぶ受けている方の話を伺うようになりました。
新たなトラブルも生じているようですが、これでコロナも落ち着くといいのですが、、
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