実践!事業承継・自社株対策
持株会社を作る方法【実践!事業承継・自社株対策】第81号
2021.12.23
Q 当社は、同族ですべての株式を持つ2社を経営しています。
今回、2社の上に管理機能を持つ持株会社を作りたいと思っていますが、どのような方法で行えば良いでしょうか?また、税金面はどうなりますか?
A このような場合には、株式移転の手法を使うのが良いでしょう。また、その後、必要に応じて会社分割を行います。
株式移転とは、既存の会社の上に親会社(持株会社)を新設する組織再編の手法です。
具体的には、既存の会社の株主が、その株式を現物出資することにより、新たに親会社を設立し、既存の株主は親会社の株式を取得します。
新たに設立された会社は、既存の会社の株式を現物出資されることにより、既存の会社の株式を持つことになります。
すなわち、持株会社=親会社になる、ということです。
この場合、既存の会社の株主は、その株式を現物出資=売却したことになり、本来であれば課税の対象になります。
ただし、税制適格の要件を満たせば、上記株式の売却は簿価で行われたことになり、譲渡益に対する課税はされないことになります。
では、税制適格の要件とはどのようなものでしょうか?
ご質問者の場合は、同族で2社の株式をすべて保有しているため、この組織再編は完全支配関係があるものと考えられます。
この場合の税制適格要件は、次の2つです。
1.親会社になる会社の株式以外の資産が、既存の株主に交付されないこと
2.完全支配関係が継続すること
なお、株式移転後に管理機能を持つために必要な資産等を親会社に移すためには、会社分割(吸収分割)を活用することができます。
この会社分割も完全支配関係があるグループ内では、税制適格で行うことが可能です。
《担当:税理士 北岡 修一》
編集後記
先日、令和4年度の税制改正大綱が公表されました。その中で特例事業承継税制に関して、その条件となる特例事業承継計画の確認申請の期限が、1年間延長されることになりました。
まだ、正式決定ではありませんが、恐らくそのようになっていくでしょう。すなわち、令和5年の3月末から、令和6年の3月末になった、ということです。
まだ、特例事業承継税制を使うかどうか決めかねている会社にとっては朗報かも知れませんね。
ただし、事業承継税制の特例(税金が100%猶予されるなど)は、令和9年12月末で終わりということは、ほぼ明確になった書きぶりでしたね。いずれにせよ、検討される方は早目に計画を出しておいた方が良いかと思います。
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