実践!事業承継・自社株対策
持株会社による事業承継【実践!事業承継・自社株対策】第91号
2022.03.17
Q 持株会社を設立して、後継者に事業承継をしていくと、税務上もメリットがあると聞いたのですが、どのような方法でしょうか?
A 上記のような趣旨ですと、たとえば次のような方法があります。
まず、後継者が出資をして会社を設立します。
その上で、現経営者が持つ株式を、その持株会社に譲渡します。
譲渡する価格は、しっかり評価した上で決めることになりますが、それなりの高い価格になると思います。
ここで問題になるのは、購入資金の調達ですが、多くの場合は元々の会社の取引銀行から融資を受けることが多いですね。
株式を譲渡することにより、譲渡所得税がかかりますが、その税率は売却益の20.315%になります。
売却益も多くなりますので、これもかなりの税額になるかとは思いますが、20.315%の分離課税で済むというのは、高所得者の総合課税の税率から比べれば低い、ともいえます。
さらに、早い段階で後継者の会社に譲渡することにより、今後の株式の値上がりを心配する必要がなくなります。
現経営者は、株式譲渡によりまとまったお金が入りますので、早目の承継、引退も考えられます。
持株会社の方は、借入をして株式を購入したわけですから、返済をしていかなければなりません。
この返済資金をどうしていくかが、大きな課題になります。
持株会社ですから、通常収入は配当しかありません。
ただし、持株会社が100%株式を保有している場合は、その受取配当金は、全額益金不算入となります。
すなわち、配当には税金がかからない、ということになります。これは返済資金確保において、非常に助かります。
個人に譲渡した場合にはできないことですので、持株会社のメリットかと思います。
また、株主が持株会社だけであれば、返済している間は配当を多めに出していくことも可能です。
なお、配当以外にも賃貸不動産などを持株会社に移転して、収益を上げていくなどの方法を取っていくことも考えられます。
《担当:税理士 北岡 修一》
編集後記
上記方法、銀行が提案してくることも多いですね。
現経営者には多額のお金が入ってくることになるので、高齢の場合には、その相続税対策も必要になる、ということもあります。
そのようなことも考えながら、何が本当にいいのか、決めていかないといけないですね。
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