実践!社長の財務
税金を払わないと内部留保が貯まらない【実践!社長の財務】第1000号
2022.12.26
おはようございます。
税理士の北岡修一です。
実践!社長の財務メルマガ、本日1,000号となりました。
お読みいただいている読者の皆様がいるからこそ、ここまで長く続けてこられたのかと思います。
改めて、感謝申し上げます。
記念すべき第1,000号では、このメルマガで当初より主張し、一番下のミッションにも掲げています、「税金を払わないと、内部留保が貯まらない」について、書きたいと思います。
非常に単純な話なのですが、これを理解していないで、いつまでも苦しい、成長しない企業が多かったため、あえて逆説的に書いています。
というのも、税理士をしていると、決算のときに利益が出ていると、「こんなに払うの?もっと税金を減らせないのか?」という話をする経営者が、非常に多かったのです。
「税理士は、税金を減らすのが仕事なんじゃないのか?」とまで言う経営者もいました。
大いなる誤解です。
この説明をするときは、いつも次のような話をします。
損益計算書(P/L)の一番下を、見てください。
次のようになっています。
・・・・・・・
税引前当期純利益 **********
法人税等 *********
───────────────
当期純利益 **********
この法人税等を控除した後の、当期純利益が、貸借対照表(B/S)の純資産の部の、繰越利益剰余金に加算されていきます。
この繰越利益剰余金が、内部留保になっていき、これを積み上げていくことにより、会社の財務内容が充実し、盤石な財務体質を持った会社になっていくわけですね。
税金を減らしたい、ということは、上記の法人税等を減らすことであり、そのためには税引前当期純利益を減らさなければなりません。
当然、これら2つが減れば、最後の当期純利益も減ります。
すなわち、内部留保になる繰越利益剰余金も減る、増えていかない、ということになります。
結果、税金を減らすことは、財務内容の充実を拒むことになり、盤石な財務体質は望まない、という結果になるのです。
こう反論する人もいるかも知れません。
「利益を減らさず、税金だけ減らして欲しいのだ」と。
もちろん、各種税額控除などを使えば、そういうことはあります。
ただ、そういうことは私たち税理士が専門家として、既にやっているのです。
それは私たちの役割だと思っています。
その上で、さらに税金を減らして欲しいというのですから、それはもう、必要のないものを買ったり、使ったりして利益を減らすしかないのです。
これをやっていたら、いつまでも・・・・ということになるのです。
確かに、利益が出たらその30%強を、税金で払っていくのは結構厳しいことです。
利益が出たからと言っても、必ずしも現預金があるわけではないからです。
利益分は、まだ未回収の売掛金だったり、在庫であったり、設備投資をしていたり、借入金の返済に回していたりするからです。
でも、何とかやり繰りをして税金を払い、歯を食いしばって頑張っていくと、5年後にはすばらしい財務内容の会社になっています。
これは、様々な会社を見てきて私の実感です。
財務内容のいい、羨ましがられるような会社は、必ずこの時期を経てきているのですね。
理由は簡単です。
税金は利益の全部を持っていくわけではない。
70%は会社に残るからです。
今は、資金繰りが苦しいかも知れないけれど、売掛金の回収が進み、余剰の在庫が減り、設備投資が落ちついてくれば、税引き後の利益が、現預金に残ってくるのです。
これで立派な財務内容の会社にしていくことができます。
税金は、そのための経費と考えればいいのです。
というような話を書いたり、言ってきたりしたせいか、最近は、「税金を減らしてくれ」というような話は、あまり聞かなくなってきましたね。
既に皆様は、上記のことなど当たり前、と思っていらっしゃる方が多いかと思います。
改めて確認していただいて、すばらしい財務内容の会社にしていただき、「ちょっとやそっとでは潰れない、いい会社」にしていって欲しいと、願っています。
編集後記
今日が今年最後のメルマガになります。
今年も1年間お読みいただき、誠にありがとうございます。
1,001号目は来年、来週じっくり考えて配信します。
コロナも大分意識しなくなり、徐々に以前の生活に戻ってきている感じですね。来年こそは1年を通じて、自由に活動できる良い年にしていきたいですね。
では、皆様、良いお年をお迎えください。
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