実践!社長の財務
法人がリースバックを使うケース【実践!社長の財務】第1008号
2023.03.06
おはようございます。
税理士の北岡修一です。
最近、リースバックについて検討する機会があったので、それを書いてみたいと思います。
個人が自宅などをリースバックするケースは、水曜日の「実践!相続税対策」メルマガで書いていますので、こちらについては、法人の場合を書いてみます。
リースバックとは、たとえば、本社の不動産を所有している場合、その不動産を売却した上で、そのまま賃借して、そこで事業を続ける形態です。
外見上は何ら変わらず事業を継続していますが、不動産の所有者が変わり、費用の中身が減価償却費や固定資産税から、家賃に変わっていきます。
また、状況が変わって買い戻したいときは、あらかじめ合意した価格によって、買い戻すこともできます。
法人がリースバックを使うケースは、次のようなものがあるのでは、と考えてみました。
1.銀行借入が難しく、早急に資金が必要というような場合。リースバックは資金化が早いし、資金使途なども問われません。
2.その後、業績が回復した場合には、買い戻すことができます。いわば一時しのぎで使える、とも言えます。
また、買い戻せば家賃がなくなり、さらに業績改善につながることもあります。
3.借入金が多い場合には、リースバックをしてその資金で借入金を返済することにより、財務内容が改善されます。
自己資本比率も高くなります。
同じ場所で、同じように事業をしながら、何の苦労もなく、財務改善ができるのが良い、とも言えます。
ただし、家賃負担が増えるので、その家賃支払いに耐えられるか、注意しておく必要があります。
なお、一旦銀行借入を返済しておくことにより、借入枠の空きを確保することができ、将来銀行借入をしやすくなります。
4.中小企業には、社長借入が多く、返済困難な会社も多いです。
社長から見れば貸付金という財産であり、社長が亡くなった場合には、遺族に相続税がかかってくることになります。
そこで、本社ビルを売って移転することはできないが、リースバックを使うことにより、その資金で社長借入を返済し、このような相続問題を解決しておくことができるのでないでしょうか。
5.簿価が低い不動産であれば、リースバックにより益出しをすることができます。すなわち、赤字解消対策として利用することができます。
また、過去からの繰越損失があり、繰越控除期限内に、使い切れない場合は、リースバックにより益出しをして、過去の欠損金の繰越控除を使い切ることにより、節税につなげることも可能です。
6.その後、その不動産を買い戻せば、簿価が高くなり、将来その不動産を売却するときの税金の節税にもつながります。
以上のようなことを考えてみましたが、いかがでしょうか?
該当するようなことがあれば、是非、参考にしていただければと思います。
また、疑問点等ありましたら、お気軽にご連絡ください。
編集後記
昨日は、東京マラソンがありましたね。うちの事務所のそばからスタートするので、見慣れた光景をテレビで見ていました。それにしても、すごい参加人数でした。
レースは終盤、日本人についていってもらいたかったですが、高速レースでしたから限界だったんでしょうね。
ただ、またまた、箱根駅伝出身者が頑張ってくれたのは嬉しいことです。
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