実践!社長の財務
真実を表す会計とは?【実践!社長の財務】第138号
2006.06.26
おはようございます。税理士の北岡修一です。
2008年から「棚卸資産」の評価は、低価法が原則となります。
期末の時価と取得価格を比較して、低い方の金額を期末の評価額とするわけですね。
本日のテーマでもありますが、会計を厳しく見るという流れが、これでほぼ全資産に行き渡ってきましたね。
賛否両論はあるかも知れませんが、私はこの流れで良いと思います。
さらに、これに税法も対応してくれればもっと良いのですが。
(税法上も落とせるようにして欲しい)
ということで、本日も「実践!社長の財務」いってみましょう!
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■□ 真実を表す会計とは?
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「会計を良くすると、会社が良くなる!」ということを、先週書きました。
そもそも会計とは、経営の状況を数字で表したものです。
ただ、経営の状況を数字で表す、なんてことが正確にできるのでしょうか?
これはかなり難しいことです。
数字に表せないことが、たくさんあるからです。
どんな人がいるのか、今、何が問題になっているのか、こういうようなことは、会計の数字には表れてきません。
会計ができることは、お金に反映される情報を、表すことだけです。
ただ、この表し方にもいろいろあります。
そもそも、会計の基本は単純です。
お金が入ってきたか、出て行ったか、そして今いくら残っているのか、これがベースです。
いわゆる現金収支、キャッシュフローですね。
そこに様々な取引が増えてきたことにより、
これから入ってくるお金がある、出ていく予定のお金もある、
入金の中には売上でないお金もあるし、出金の中にも単純な経費でないものもある・・・
等々、様々な取引が追加されてしまったのですね。
そこで、一定の処理のルールを決めました。
いわゆる会計基準です。
このルールをどうやって適用するか、どこまで適用するか、これが会社によって、かなり違うんですね。
甘く適用すれば、良いバランスシートができてしまいます。
厳しく適用すれば、内部留保のない会社になってしまいます。
同じ会社であっても、ルールの適用の仕方でまったく違って見えるわけですね。
どちらがよいのでしょうか?
とりあえず、外部に見せるのであれば、甘く適用した方が良い印象を与えるでしょう。
ただ、本当に長期のことを考えたら、今をできるだけ厳しい目で見ておいた方が、絶対に良いと思いませんか?
たとえ本当の状況が分かっていたとしても、甘く適用した決算書を見続けていると、それが本当の姿だと勘違いしていってしまうものです。
人間の感覚はあいまいですから、それが自分の会社の状況だと思ってしまいます。
ですから、甘い決算書を見ていると、自然に危機意識がなくなってくるのですね...これは怖いことです。
だからこそ、経営者は、厳しい財務諸表、すなわち
・資産価値のないものは落とす
・できるだけ資産には計上せず、経費で処理する
・将来発生する支払いは、負債に計上あるいは引き当てをする
・・・
上記のようなことを、厳しくやって欲しいのです。
真実を表せるのは、現金預金という資産くらいかも知れません。
あとは、正直本当にお金になるのかどうか、わかりませんよ。
反面、負債は、ほぼ真実の負債になるでしょう。
そうやって、バランスシートは見ていかないといけないですね。
そういう見方をしてこそ、社長は危機感を持ち、会社は良くなるのです。
★「会計を良くすると、会社が良くなる!」というのは、そういう理由からなのです。
編集後記
先週土曜日は、小学生の娘の父親参観に行ってきました。
なかなかユニークな先生で、父親たちがドッキリゲームに引っ掛けられ、大いに盛り上がりました。
型にはまらず、自分のやり方ができる先生が少なくなってきたように思いますが、情熱があればこそ、いろいろなアイデアが浮かんでくるものです。
ちょっと、今年の先生は期待できますね!
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