実践!社長の財務
数字を公開すると、会社が元氣になる!【実践!社長の財務】第141号
2006.07.17
おはようございます。税理士の北岡修一です。
平成18年度の税制改正で、役員給与の扱いについては、改正後数ヶ月経ってもいろいろな疑問が残っています。
はっきりしてきたことは、役員報酬は、事業年度開始から3ヶ月以内にしか、変更できない、ということですね。
期中で業績が良いから上げよう、というのはご法度になります。
なぜなら、3ヶ月以内以外で、上げようとすると届出が必要だからです。
そして、その届出は3ヶ月以内に出さないといけないのですから...
その後では、もう遅い、ということですね。
では、期中で上げてしまった場合はどうなるのか?
その前後の役員報酬の状況にもよりますが、基本的には増額した部分が、損金に算入されない、ということになるようです。
これからは、期首、前期の決算が終わった段階で、翌年度の計画をしっかり立て、役員報酬をキッチリ吟味して決めておく必要がありますね。
ということで、本日も「実践!社長の財務」いってみましょう!
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■□ 数字を公開すると、会社が元氣になる!
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先週は、「公私混同を戒める」という話をしました。
継続するいい会社を作るには、これは絶対条件だと思います。
そのためにも、最も効果的なのは、社員に数字を公開することです。
中小企業、特に小さい会社では、ほとんどの会社が社員に数字を公開していません。
売上や粗利くらいは、営業マンには公開しているでしょうが、それは、彼らの本職ですから、それすら公開しないと仕事にならないからです。
でも、それでは数字を公開したことにはなりません。
少なくとも営業利益、できれば当期純利益まで公開して欲しいのです。
なぜか?
真のビジネスマン、プロフェッショナルであれば、自分のやったことの結果を、知りたいのが当然だからです。
もちろん、利益という指標でなくても、それを知ることはできるかも知れません。獲得顧客数とか、商品の販売数量、広告やイベントの反響などなど...
でも、最も結果を端的に表すのは「利益」です。
すべてがうまく行ったとしても、最終利益が赤字であれば、そのビジネスは失敗、ということになってしまいます。
数字を公開することをどうこういうよりも、むしろ数字を公開しないデメリットを考えた方がいいと思います。
すなわち、やる気のある人は、「俺たちはその程度のものか...」と思ってしまうかも知れません。
重要なことを伝えてくれないのですから、そう思っても当然です。
それが高じてくると、伝えてくれないということは、何かあるんじゃないか、と勘ぐってしまいます。
ひいてはそれは、上司や経営者に対する不信につながっていきます。
場合によっては、会社の中に根拠のない噂が飛び交ったり、疑心暗鬼になったり、正直ろくなことが起こりませんね。
それでも、やる気があって勘ぐっている位ならまだいいのですが、
「その程度のもの」という仕事しかしない人も出てきます。
要は、数字を公開しないと、社内が濁ってしまう、ということなんですね。
では、なぜ数字を公開しないのでしょうか?
いろいろ考えられますね。
・あまり業績が良くないので、見せたくない...
・交際費など社長関連の経費が多いので、見せたくない...
・役員報酬が多いので、見せたくない...
・利益が出ているのに、給与が低いので見せたくない...
・社員がいろいろ勘ぐるので、見せたくない...
・社外に情報が漏れると困るので、見せたくない...
・・・
要は、社長の個人的な見栄や、体裁を維持することの理由の方が多いのではないですか?
先週も書きましたが、ひとたび社員を雇用して、夢や目標を語ってやっていくのであれば、これらは論外の話でしょう。
公私混同を戒めれば、数字はまったく公開しても問題ないですよね?
そして、数字を公開するメリット。
★社員が会社の状況を理解してくれる。
★そのために、やるべきことを自ら考えてくれる。
★そのことの実行に、責任を持ってくれる。
★社内が明るくなる。元氣が出る。
↓
★そして、業績が良くなる。
という好循環になるのです。
なぜか?
もうおわかりかと思いますが、経営者がひとりで考えるよりも、
皆で考えた方がいろいろなアイデアが出る、様々な施策を打つことができる、からです。
皆、状況がわかっているから、ベクトルを合わせやすいのですね。
こんないい事があるのですから、是非、数字を社内に公開しない手はないと思いませんか?
編集後記
ちなみに社内に数字を公開すると言っても、各人の給与だけは別ですね。
これを公開するには、余程透明な人事のしくみを作っておかなければいけません。
通常の場合は、損益計算書に全員の給与の合計が表示されていればそれでいいと思います。
もう少し細かくなれば部門別の人件費合計くらいまでは、公開してもいいでしょうね。
いずれにしても、各社の現在の状況に応じて、無理のないところから公開していくと良いでしょう。
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