実践!社長の財務
早期回収の具体的方法【実践!社長の財務】第155号
2006.10.23
おはようございます。税理士の北岡修一です。
先週は、M&Aのセミナー、何名か来ていただきありがとうございます。
近年の商法改正、今年は新・会社法創設、そして税法改正も後押ししてM&Aや組織再編が非常にやりやすくなってきています。
M&Aというと構えてしまうかも知れませんが、中小企業同士でも株式譲渡や合併などが、相当増えてきているようですね。(年間7~8,000件)
後継者がいない場合には、自分の代で終わりと廃業するよりも、M&Aを考えた方が、時間的にも、経済的にもそして精神的にもメリットが多いですね。
また、事業拡大にあたっては、自社の努力+M&Aを活用することによって、時間的、経済的にメリットが多い場合が結構あります。
シナジーという効果も期待できます。
そのようなことが思い当たる場合は、是非、ご相談ください。
当社は、日本最大の中小企業M&Aのネットワークに加盟していますので、ご相談に乗れると思います。
北岡→ kitaoka@tmcg.co.jp
ということで、本日も「実践!社長の財務」いってみましょう!
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■□ 早期回収の具体的方法
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たとえば、御社の売掛金が、毎月末5,000万円位あるとします。
早期回収をしていこう、とするのであれば、まず、売掛金残高の全体目標を設定します。
たとえば、売掛金の残高水準をを1/2にしよう、ということです。上記例では、常時2,500万円にしよう、というのが目標になります。
かなり厳しい目標かも知れませんが、これができるともの凄く資金繰りが楽になるはずです。
一気に1/2になるわけではないので、なかなか資金繰りの楽さが感じられないかも知れませんが、ある日突然、「ずい分資金繰りが楽だな…」と感じるはずです。
資金繰りは、苦しくなる時も、楽になる時も、徐々に感じるものです。
全体で、大枠で目標を決めたならば、今度は売掛金の中身を詳細に見ていきます。
各売掛金の残高明細です。
よく売掛金の年齢調査というものをやりますが、これは、たとえば9月末に残っている得意先別の売掛金について、
1.当月(9月)発生したものはいくら
2.前月(8月)発生したものはいくら
3.前々月(7月)発生したものはいくら
4.それ以前に発生したものはいくら
というように、売掛金の明細を発生月別に表わした表を作っていきます。
得意先 売掛金残高 当月発生分 前月発生分 前々月発生分 それ以前
─── ───── ───── ───── ────── ────
というような表ですね。
この表を見ると、売掛金を1/2にするには、どの部分を減らせばいいのか見えてきます。
そして、当月発生分と前月発生分はいいが、前々月発生分とそれ以前発生分については、回収の催促をしたり、何らかの処置を取っていきます。
また、今後は、極力前々月以前分を発生させない対応を取っていきます。
さらに、前月発生分も基本的にはなくしていく方法を考えていきます。
個別の交渉もあるし、全体でのルール決めもあると思います。
ここまでやると、かなりの売掛金削減ターゲットが見えてくるはずです。
その上で、具体的な行動を起こしていきます。
1.まずは、上記年齢表などにより、個別の得意先あるいは得意先グループごとの削減目標を決めます。
2.上記については、最低月1回の「月次会議」「営業会議」などでその削減進展状況を、各担当者が発表します。
早期回収できたところ、できなかったところ、その原因、今後の対応を各担当者に話してもらいます。それについての、質疑・アドバイスなどを行ないます。
3.また、今後の取引についての基本ルールを決めます。
・入金サイトは、どのように設定するか?
納品後、1ヶ月以内なのか、1週間以内なのか、等々。
当然、相手があることなので、その通りにならないことも多いかと思いますが、当社の基本を決めておくことは重要です。
・支払い(入金方法)は、どのようにするか?
振込みなのか、現金・小切手回収なのか、手形は許容するのか、自動引き落としなのか、代引きなのか、前金なのか・・・
もちろん、できるだけ早く・確実に回収する方法を決めます。
これに沿わない得意先は、取引をするのかどうか、その覚悟も決める必要がありますね。
・契約書や見積書、約定書などをきちんと作る。
取引を始めるにあたっては、業種にもよるでしょうが、できるだけ文書を交わす、差し入れることが重要です。
売掛金の回収にあたっては、最初が肝心です。
最初にきちんと取り決めをしておかないと、相手のペースになってしまいます。これを了承していただかなければ、取引はしない、という覚悟できちんと書類を作ることです。
4.以上のようなルールを決めた上、日常業務をきちんとやっていくことです。たとえば、次のようなことです。
・約定の入金期日に入金がない場合は、経理担当者が、営業担当者に迅速に伝え、営業担当者は、先方に確認・督促をする。
・それでも、入金がない場合は、あらかじめ決めたルールにのっとり、何日過ぎたら再請求書を出す、営業が訪問して話をしてくる、所定の法的手続きを取る、取引の停止をする・・・など、社内ルールに基づいて行動を起こします。(社内ルールを作っておく)
大事なのは、ほったらかしにしない、ということですね。
お金のことにルーズでなく、きっちり言う会社は、却って信頼されるものです。それで恨みを買うような得意先であれば、レベルの低い得意先だと思い、取引を控えていく位の方が良いかと思います。
また、きちんという相手には、資金繰りは苦しくてもきちんと払うというようになるものです。何も言わないところに対する支払いは遅くなるものです。(相手にそういう意識を持たれると怖いですよ)
・請求書は迅速に発行する。月締めで発行するのも良いですが、単発の取引などは、取引が終わったら即座に請求書を発行する方が入金は早くなります。
・請求書を早く発行するという意味では、前金の請求、着手金の請求、当月分の前月末請求なども、検討してみてください。
たとえば10月分は、9月末に請求し、10月末までに入金してもらうということです。これにより、売掛金の計上がなくなります。
・請求書に入金期日を入れるのも効果があります。
「○月○日までに、お振込みください。」というような語句です。
さりげなく入れておくことにより、その日までに振り込んでくれることが多いものです。
以上、ちょっと長くなりましたが、このようなことを地道にやることにより売掛金は、徐々にでも減っていくことでしょう。
資金繰りの良さを実感できれば、さらに回収に弾みがつくかも知れません。
編集後記
今日はこれから沖縄に行ってきます。
遊びではなく、仕事・セミナーをしに行ってきます。
沖縄というと何か浮かれた気分になりますが、仕事で行くのは初めてです。でも、仕事でも嬉しいもんですね!
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