実践!社長の財務
儲けたお金はどこに行ったか?【実践!社長の財務】第161号
2006.12.04
おはようございます。税理士の北岡修一です。
税制改正論議、同族会社の留保金に対する課税がなくなりそうですね。
これはとってもいいことだと思います。
なぜ、通常の法人税をかけた上に、さらに留保金に税金をかけなければいけないのか、正直理解できません。
配当をする会社としない会社に、不公平があるという理由なのでしょうが、大企業と中小企業を比べているようなもので、あまり説得力がないと思います。ですから、今回の改正論議はいい方向に行っていると思います。
ただ、大会社(恐らく資本金1億円超の法人)は、留保金課税は残すようですね。資本金1億円超にすると、本当にいろいろな税制面で不利です。
ということで、本日も「実践!社長の財務」いってみましょう!
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■□ 儲けたお金はどこに行ったか?
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ここ最近は、「利益と資金を一致させる経営」ということにテーマを置いて、話してきました。
その最たるものが、売上債権、在庫、固定資産です。これらが多くなればなるほど、利益と資金が乖離していきます。
すなわち、儲けても儲けても、お金がない、という状況ですね。
これはつらいですよね。
売上が上がれば上がるほど、仕入資金が要りますし、拠点展開や設備投資にお金がかかっていきます。
人も採用しなければなりませんし、かと言って即戦力はそう簡単には採れません。先行投資がどうしても多くなります。
そして、最後に税金の追い討ち。お金はないのに、税金はかかる、
ということになってくるのです。
(これは成長企業共通の通過点です・・・)
「儲けたお金はどこに行ったか?」
これは経営者にとって最大の疑問の1つです。
私たちも、仕事をしていて社長によく聞かれます。
バランスシートを見ながら、いろいろ説明するのですが、いまいちピンと来ていないようですね。(説明がヘタなのか...)
そんな疑問に答える、資金別貸借対照表というのがあります。
メルマガでは、詳しくは書けませんが、概ね次のようなものです。
■ 儲けたお金 → 今まで儲けたお金。本来手元にあるはずのお金
= 利益剰余金
↓
これらがどこに行ったか?
1.固定資金 → 長期に固定される資金に行っている
=(在庫、有形固定資産、投資等)-(資本金、長期借入金等)
2.本業資金 → 売上や仕入に使われている資金
=(売掛金、受取手形)-(買掛金、支払手形)
3.流動資金 → 短期的なお金の支出に行っている
=(貸付金、立替金、仮払金など)-(短期借入金、預り金、仮受金など)
■ 実際にあるお金 = 儲けたお金 - 固定資金 - 本業資金 - 流動資金
ということになります。
すなわち、資金別貸借対照表は、貸借対照表の勘定科目を資金使途の観点から組み替えて、どこにお金が行っているのかを明らかにする表です。
この表を作ると、「なるほど! 儲かったお金はこんなとこに行っていたのか!」ということが良くわかります。
・資金が固定資産などの投資や、不良在庫も含めた在庫に寝ている...
・売掛金のサイトが長いので、買掛金との支払いサイトを埋める資金に行ってしまっている...
・協力企業を引き止めるための貸付金や立替金の短期資金に行ってしまっている...
というようなことが、明確にわかってきます。
是非、年に1度(毎月ならなお良い)位は、このような資金の行く先のチェックをしてみてはどうでしょうか?
資金別貸借対照表は、最近注目を集めてきている表です。
興味のある方は、ネットで検索してみては?
編集後記
明日(11:30)OBCの奉行フォーラム東京でセミナーをやります。
定員130名が、もうほとんど一杯のようです。
テーマは「月次決算活用法」。興味があったら覗いてみてください。
⇒ http://www.obc.co.jp/f2006/tokyo/seminar.html#03
今日は最終準備をしないと...
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