実践!社長の財務
単位当たり付加価値の追求【実践!社長の財務】第168号
2007.01.22
おはようございます。
税理士の北岡修一です。
平成19年度税制改正では、役員給与についてもいくつか改正になっていますね。
昨年改正になった「特殊支配同族会社」(持株90%以上、常務役員過半数同族)の社長給与のうち、給与所得控除相当分が損金不算入になる、という、理不尽な規定ですが...
この適用除外の枠が拡がりましたね。会社の所得と社長給与合わせて800万円以下だったのが、倍の1,600万円以下になりました。
3年平均でその金額以下であれば、損金不算入にはならない、ということです。
いきなり倍ですから、相当の批判に押された形なのかと思います。
それにしても、1年で倍にするわけですから(まだ1年目の申告も終わっていないのに)、当初の決め方は何だったんだ! という気もします。
もう少し、議論をつくして決めて欲しいですね。
それにしても、1年間だけは、800万円基準でやらなくてはいけないので、余分な税金を払わされる会社は、いい迷惑だと思います...
ということで、本日も「実践!社長の財務」いってみましょう!
単位当たり付加価値の追求
この2週、「経常利益率10%以上を目指す」経営のためには、
「売上を最大にして、経費を最小にする」
「値決めは経営」
ということが、大事であることを話してきました。
しかし、もう1つ大事なことがあります。
それは、利益率を高めていくには、単位当たりの付加価値を追求し、これを極限まで上げる、ということです。
例えば、
・時間当たり
・営業マン1人当たり
・全社員1人当たり
・顧客1件当たり
・商品、製品1個当たり
・・・
いろいろあると思います。
それぞれの付加価値を極限まで高めていくことが、利益率を上げていく、利益の上がる体質を作り、これを持続していくためには、必要不可欠なことです。
たとえば、1億円利益を上げたと言っても、これがすばらしい数値なのかどうかは、これだけではわかりません。
1億円の利益を上げるために、
・何人でやったのか?
・時間はどの位かかったのか?
・何個の商品を売ったのか?
・・・
などによっては、決して儲かっているかどうかはわかりません。
2人でやったのか、100人でやったのかでは、全く違うはずです。
この単位当たり付加価値を上げることについては、製造業ではトコトン追求しているはずです。
いかに効率よく作業をするか、限られた時間の中で、より多くのものを作り、さらにより質の高いものを作る。
コストもギリギリまで下げる努力をする。
日本の製造業は、この質の追及、効率性の追求について、本当にすばらしいと思います。
それに比べると、販売業やサービス業は、本当にまだまだだと思います。効率性の追求、時間当たりの付加価値を高めようという意識がなかなか持てないのです。
製造業の場合は、ある程度皆が連動していますから、誰かがさぼっていると、すぐにわかってしまいます。したがって、全体でまとまって、効率を上げていきやすい環境にはあると思います。
その点、いわゆるホワイトカラーの人たちは、それぞれが勝手にやっていても、わからない部分がある。日々の作業がそのまま実績につながるとは限らない...というような点が製造業とは違うと思います。
だからこそ、販売業やサービス業の場合は、余計に単位当たりの意識を強く持つ必要があります。
・1人1ヶ月当たり、いくらの付加価値を目指すのか、
・それには、顧客1件あたりはどうなのか、
・どのサービスでいくらの付加価値を上げるのか、
などを明確に持っておく必要があると思います。
御社ではどのような、単位当たりを指標にしていますか?
当社(会計事務所)でいえば、人だけで成り立っていますから、やはり、「1人1ヶ月あたりの粗利益」をいかに高めるか、が大事だと思っています。
これらの指標を明確に持つこと、そしてそれを徹底的に追求していくこと、これが高収益体質の会社を作るために、最も重要なことではないか、と思っています。
編集後記
センター試験が土日にありましたね。実はうちの息子も受験生です。昨日は、「今年から試験の形式が変わって、すごく難しかったよ。皆できなかったみたいだよ。」といって、安心していましたが、
できないのは、自分のまわりだけなんじゃないの?・・・と、つい心配になってしまいますね...
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