実践!社長の財務
借入金の限度はどの位なのか?【実践!社長の財務】第177号
2007.03.26
おはようございます。
税理士の北岡修一です。
いよいよ3月末ですね。いろいろな会社であったり、団体であったり、3月末に締め、というところは多いものです。
締めや決算の会社でなくても、何か3月末は区切りがいいものです。
何かやることはなかったのかどうか、是非、今週確認してやってみてください。
年度末に便乗(?)して、「年度末なので、何とか今週中に入金してください。」と、売掛金を回収するのも、いいかも知れませんよ。
ということで、本日も「実践!社長の財務」いってみましょう!
借入金の限度はどの位なのか?
先週、不動産業界の集まりで、研修をさせていただきました。
もちろん、財務の研修です。
その中で、借入金の話もさせていただき、
「借入金は、月商の3ヶ月を目安に、・・・」というような話をしました。
研修後、何人かの挨拶の中に、
「うちは、とても月商の3か月分では収まっていない...机上の理論と現実は、違うのでは...」
みたいな話がありました。
ちょっと、いつもより反応が悪かったので、何でかな?と思ったのですが、「不動産業界である」ということを忘れていました。
決して、不動産業界が悪い、という意味ではないですよ。
不動産業界には、特殊な事情がある、ということです。
その前に、「借入金は月商の3か月分」の根拠を話します。
これは、私が勝手に考えている根拠です。
1.借入金の限度は、返済能力から考える必要がある。
すなわち、いくらまでなら返せるかで、借入金の限度を決めるべきである。
2.借入金を返済する場合の、返済原資は、
《税引き後当期利益 + 減価償却費》である。いわゆる簡易のキャッシュフローである。減価償却費を足しているのは、これは資金の流出が伴わない経費だから、である。
3.このキャッシュフローを、仮に売上の5%と考える。
これは会社によって違うだろうが、利益率が、5%~位の会社が、税金を引いて減価償却費を足せば、5%位になるかな、程度のものである。きりがいいから使っている。
4.借入金の返済能力といっても、遠い将来まで返済能力が持続しているのかは、正直わからないだろう。でも、5年位先までは、経営者であれば、読めるのではないか?
5.以上を勘案すると、返済能力は
返済能力=年売上×5%×5年=年売上×25%
=3か月分の売上
ということになる。
いろいろな前提はあるが、結構理論的にまとまっていると思いますが、いかがでしょうか?
もちろん、会社によって前提数字を変えていただき、自社の返済能力を計算してみると良いかと思います。
「うちは、キャッシュフローは、もっとあるよ。」とか、
「10年位先まで、安泰で見えてるよ。」(いいですね。本当?)とか、
数値を入れ替えて計算してみればいいのです。
要は、借りたら返されければいけないので、「その金額を返せるかどうか」が、借入金の限度額なのです。
上記の計算以外に、返済原資があるのなら、それはそれでいいのです。
そこで、不動産業界の話に戻ります。
不動産業界では、とりあえず2つ思いつきますが、別途返済原資があります。
1つは、賃貸物件。これは10年、20年位のスパンで、賃料が予測でき、減価償却費や、支払利息、修繕費、租税公課などの経費も予測できます。
したがって、賃貸物件ごとに独自に返済原資を計算することができ、借入金の額も決めることができます。
したがって、このような場合は、月商の3ヶ月とは別に考えればよいのです。
もう1つは、建売住宅などの販売を行なう場合の、仕入資金の借入れです。当然、仕入れる土地を担保に借入れをし、その住宅が売れれば、その売れたお金で、借入金を返済することができます。当然、利益分
のキャッシュフローが浮くことになります。
このように、個々の物件ごとに、売上と借入れがひも付きになっていれば、会社全体で返済原資を計算することはありませんね。
このように、不動産業界の場合は、会社全体で借入れ限度額を計算することは合わなかったのですね。
反応が悪いのも当たり前でした...(反省!)
ただし、借入金は返済原資で限度額を考える、という原則に変わりはありません。
是非、皆様の業界、あるいは御社の特殊事情なども考慮しながら、返済原資は、どの位あるのか計算してみて、借入金の限度管理をして欲しいと思います。
編集後記
子供たちは、春休みなのでなかなか起きてきません。
そんなことでゆっくりメルマガを書いたいたら、エッ、もうこんな時間ということになってきました。
どうも春休みや夏休みになると、親の方も時間がくるってきますね。
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