実践!社長の財務
減価償却制度の見直し【実践!社長の財務】第186号
2007.05.28
おはようございます。
税理士の北岡修一です。
先週は、会計をベースにした「高収益企業化」セミナーをやりました。
本メルマガから来てくれた方も、何人かいらっしゃいました。本当に、ありがとうございます。
このメルマガのテーマでもありますが、会計を良くすることが、会社そのものを良くすることにつながっていきます。
会計を決して後処理と考えず、現状を正しく知り、これからの方向を指し示してくれる羅針盤であると考え、是非ともこれを経営に活かして欲しいと思っています。
セミナーにご参加いただければ、メルマガではなかなかお伝えし切れないところまで、お話できるので、今後もまた機会がありましたらやりますので、今回来れなかった方、是非、またいらしてください。
ということで、本日も「実践!社長の財務」いってみましょう!
減価償却制度の見直し
平成19年度の改正の目玉は、法人税では何といっても、減価償却制度の改正ですね。
そもそも、日本の減価償却制度は、諸外国に比べると、ずい分不利な制度になっていました。
どういうところが、と言えば、
◎まずは、耐用年数経過時に、100%償却できないこと。
その時点では、90%までしか償却できないことになっていました。
これを、残存価額といいます。10%残すことを前提に償却計算しているのですね...
アメリカやドイツなどでは、100%償却できます。
お隣の韓国でも、95%、そして翌年には100%償却できるということになっています。
◎さらに日本の税制では、耐用年数経過後に95%まで償却できるのですが、そこでストップ! です。
これを償却可能限度額といいます。5%残さないといけないのは、これを備忘価額といい、資産が存在するという証として、5%の帳簿価格を残しておくのです。先進諸国では、こんなやり方はあまりないようです。
◎また、日本の定率法の償却率などは、償却のスピードがあまり早くありません。韓国などの方が、早い時期にたくさん償却できるようになっています。
◎そしてさらにもう1つ、日本の制度が不利なのは、耐用年数が得てして長い、ということです。
政府の調べによると、製造設備のおよそ80%の耐用年数が、主要国中、日本が最も長い、という結果が発表されています。
以上のような減価償却制度の不利が、経営に与える影響は、結構大きいのです。
減価償却費が諸外国に比べて少ないということは、それだけ経費化するのが遅く、その分の税負担が増えます。
税負担が増えれば、資金を圧迫しますので、設備への再投資なども遅れる、それだけ企業の競争力が弱まる、ということにつながっていきます。
特に、最先端の設備投資などをするにあたっては、償却のスピードが企業の競争力を決める、といっても過言ではないくらいです。
このような背景から、今回の税制改正において、減価償却制度に手を入れることになりました。
具体的には、
1.残存価額の廃止
2.償却可能限度額の廃止
これにより、耐用年数経過時に、ほぼ100%償却することができるようになりました。
さらに「250%定率法」の導入があり、これにより償却のスピードアップが図られています。
3.法定耐用年数の見直し
技術進歩が著しい3設備のみですが、耐用年数が短縮されました。
その他の資産については、今年1年かけて実態等を調査し、来年度の税制改正によって見直されるものと思われます。
今回、特に複雑なのは、上にあげた「250%定率法」の実務ですね。
これについては、次回、じっくりお話したいと思います。
編集後記
週末は、京都に行ってきました。
新緑がきれいで、すごく良かったです。京都は行ったことはあっても、お寺などじっくり見たことがなかったので、この歳で初めて本当の京都を見た、という感じです。
タクシーで、いろいろなところを案内してもらったので、2日間でずい分密度の濃い、お寺・神社回りとなりました。
でもまだまだ見ていないところもたくさん...京都というのは本当に奥が深いですね...
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