実践!社長の財務
中小企業の事業承継これでバッチリ!?【実践!社長の財務】第259号
2008.10.20
皆様、おはようございます。
税理士の北岡修一です。
10月は、4月に次いでいろいろなことが変わる時期ですね。
ご存知の方も多いかと思いますが、国金(こっきん)で親しまれてきた、国民生活金融公庫も、その名前がなくなりました。
国民生活金融公庫と、中小企業金融公庫、農林漁業金融公庫、そして、国際協力銀行の国際金融部門を統合して、「日本政策金融公庫」という新しい政府系金融機関が誕生しました。
また、商工中金や日本政策投資銀行が、株式会社化されています。
さらに、中小企業にとっては、大きな問題である事業承継について、強力に支援してくれる法律が施行されました。
今日は、その一端をご紹介したいと思います。
ということで、本日も「実践!社長の財務」いってみましょう。
中小企業の事業承継これでバッチリ!?
10月から「中小企業経営承継円滑化法」が施行されています。
先日も、ある会社で、この法律を適用した場合の相続税額を試算してみましたが、かなりのインパクトがありました。
何しろ、80%の相続税を猶予してくれるわけですから...
うまくはまれば、この法律で事業承継対策は、かなり楽になります。
中小企業の事業承継の場合、何と言っても「自社株」の評価が高くなってしまい、相続税の納税が大変困難になる、という問題が発生してきます。
何しろ未上場の同族会社の株ですから、相続しても売るに売れないし、売るわけにもいかないし、かと言って、それ程現金も残していない、そんなケースが大変多くなっています。
ですから、経営者の生前に、いかに株式を後継者に移していくか、などの対策に非常に苦労しているわけですね。
とは言え、経営者が頑張れば頑張るほど、会社は良くなり、株価が上がっていく、対策しようにも評価上の株価が高すぎて、なかなか後継者に譲れないことも多いのです。
安い価格で譲れば、贈与税が待ってますのでね...
相続時精算課税などもできたので、そのような制度も活用しながら譲ってはみるものの、2,500万円まで、という限度額がありますからとてもそれでは足りないケースが多いのです。
そんなところにようやく、かなり効果がありそうな法律ができてきました。
詳細については、来週以降に書きたいと思いますが、相続税を80%猶予してくれるというのは、かなり大きいですね。
ただし、全部の株についてではなく、議決権のある株式の2/3までということです。その他にも、いくつかのしばりがついています。
また、この納税猶予制度に併せて、相続税の課税方式も変わることになります。
簡単に言えば、今まで相続税の総額を計算して、取得した遺産に応じて、各人に税額負担を按分していた方式に変え、
各人の遺産取得額に、個別に課税する方式に改める、ということです。
これによって、若干相続税が上がるのでは、と言われています。
こちらの方は、来年度の税制改正で詳細が決まることになりますが、今年10月1日からの相続に、さかのぼって適用されます。
上記のような、事業承継にかかわる法律、税制は、中小企業の経営者、後継者、幹部の方々には、是非、おさえておいて欲しいですね。
ということで、以降は、来週ということで、よろしくお願いします。
編集後記
この週末は、奥日光に行ってきました。
すばらしい紅葉でしたね!
天気予報などでも、ずい分、奥日光の映像写っていましたからテレビで見た方も多いのでは? 本物は、それ以上でした!
メルマガ【実践!社長の財務】登録はコチラ
⇒ https://www.mag2.com/m/0000119970.html