実践!社長の財務
自社の筆頭株主は、自社?【実践!社長の財務】第296号
2009.07.06
皆様、おはようございます。
税理士の北岡修一です。
先週7月1日に、平成21年度の路線価が発表されました。
案の定、全国的に下落しており、全国平均で▲5.5%、東京は▲7.4%の下落となっています。
実感としては、もっと下がっているような気はしますが、昨年急上昇した青山や池袋では、15%くらい下がっているようです。さらにまだ下がっている気配もありますので、来年はもっと下がるのでは...?という気がしますね。
ということで、早速「実践!社長の財務」いってみたいと思います。
自社の筆頭株主は、自社?
先週の日経新聞に、筆頭株主が自社である会社が増えている、という記事がありました。
すなわち、株主の内、自己株式が最も多い、ということです。
もともとは、自己株式の取得は、原則禁止とされていました。
なぜかと言えば、タコが自らの足を食べてしまうごとく、資本の毀損を招く可能性があることや、経営者の不当な支配権の維持に利用される、株価の操作に利用される、などの理由からでした。
ところが、国際会計基準の観点からも、平成13年の商法改正で、定時株主総会の決議によって、自己株式の取得ができるようになり、
さらに、平成15年の商法改正で、一定条件のもと、取締役会の決議で自己株式を取得することができるようになりました。
新聞などでは、自己株式というよりも「金庫株」ということで、ずい分文字が踊ってましたね。確かに自己株式よりも、金庫株の方が何かすごいものであるかのような、一般受けする言葉かも知れませんね。
それ以来、自己株式の取得がずい分、流行って?きている気がします。
上場会社の場合は、株価を維持するあるいは上昇させる効果があるとして、自己株式の取得が進んでいるようです。
また、企業グループの組織再編(株式交換など)などに自己株式を利用すると好都合のようです。
でも、自社が筆頭株主になってしまう、というのはちょっと違和感がありますね。
この自己株式、中小企業などでも最近ずい分、増えてきています。
株主になっていてくれた企業が、業績が悪くなり、資金繰りのためにどうしても買い取ってくれとか、あるいは退職する社員が持っている株式を会社が買い取る、などのケースが多くなっています。
自己株式を買い取る時に、注意しなければいけないのは、税金のことです。
通常の株式の購入とは違い、自己株式の場合は、みなし配当が生ずる可能性があるからです。
自己株式の買い取りは、資本の払い戻しおよびそれを上回る部分は配当、という考え方になります。
1株あたりの買取り金額のうち、資本金および資本剰余金を上回る部分が、配当とされるわけです。これを「みなし配当」といいます。
このみなし配当分については、20%の源泉所得税を控除して、支払う必要があります。
儲かっていなくて、内部留保がない会社などは、みなし配当は発生しませんが...
ということで、自己株式を買い取るときは、是非、注意してください。
編集後記
日曜日、久しぶりに横浜にプロ野球を見に行ってきました。
試合内容はともかく、屋根のない球場で、昼間からビールを飲みながら見る野球、気持ちがいいもんですね!
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