実践!社長の財務
実学「キャッシュベース経営の原則」【実践!社長の財務】第323号
2010.01.11
皆様、おはようございます。
税理士の北岡修一です。
年明け1週間はいかがでしたか?
株価も上がり、菅さんのおかげ?で円安方向に行くは、経済的には悪くないスタートですね。
でも、まだまだ景気2番底もあると言われている本年、楽観はできません。
最近感じるのは、デフレ圧力が非常に強いということです。
ありとあらゆるものが安くなってきており、今までの普通の価格が高いと感じてしまう...そんな傾向があると思います。
ユニクロが引っ張ったと言われますが、スーパーの2Fなんかに行ってみますと、ユニクロより余程安いものが並んでますね。
ユニクロの商品は安いと言っても、しっかり利益の出せる仕組みを作った上で、いいモノを作り価格を下げていますから、決して安売りではないでしょう。
それに対して、スーパーの2Fの商品などは、これじゃあ利益出ないんじゃないの? という気がします。
同じ価格が安いと言っても、決して中身は同じではないなと思います。
周囲の価格安に安易に影響されるのではなく、意志を持った値決めをしていかないといけないですね。
「値決めは経営」ですので。
ということで、本日も、実践!社長の財務いってみましょう!
実学「キャッシュベース経営の原則」
稲盛氏は、「儲かったお金はどこにいったのか?」という疑問からこのキャッシュベース経営の重要さに気づいた、と言われています。
確かに決算上は利益が出ているが、その利益に見合ったキャッシュがない...そういうことが多いと思います。いや、ほとんどの会社が、そうなっているはずです。
儲かったお金は、まだ回収できていなかったり(売掛金・受取手形)、次の商品の仕入れに回っていたり(在庫)、設備投資などに使っていたり(固定資産)、さらには借入金の返済に回っていたり(借入金の減)します。
だから、手元にお金がないのです。
これを良くわかっていないと、経営を誤ることになります。
利益だけを見て経営をしていると、
「儲かったから、これを買おう、投資しよう、人を入れよう...」
ということになりかねません。
そのようなことをすると、どうなるか...当然、キャッシュフローが破綻してしまいます。
だからこそ稲盛氏は、最も重要な「キャッシュ」に着目して、それをベースにして正しい経営判断を行なうべきである、と述べています。
これが、キャッシュベース経営の原則です。
さらに稲盛氏は、一般にある 利益から出発してキャッシュフロー計算書を作るのではなく、経営そのものをキャッシュベースで行なうべきである、と言っています。
すなわち、会計上の利益と、手元のキャッシュとの間に介在するものをできるだけなくすことが必要である、ということです。
たとえば、売上はできるだけ早く回収する、現金化すること。
在庫は極力持たないこと。在庫の評価はできるだけ下げること。
不良在庫などはすぐに落とすこと。
固定資産にはできるだけ計上せず、費用処理すること。
固定資産に計上した場合は、早期に償却すること。
無借金経営にしていくこと。
また、売掛金などが完全になくならない場合は、同等以上の買掛金や未払金を持っていれば、キャッシュへの影響は少なくなるはずです。
上記のたとえば以降のところは、稲盛氏の本に書いてあるわけではなく、私が勝手に想像して書いていますが。
要は、いかに会計上の利益と、キャッシュフローを合わせていくか、究極は現金主義経営ですね。すべて現金取引で行なえばキャッシュベース経営になるわけです。
ただ、近代的な経営ではなかなかそういうわけにはいかないでしょうから、まずはできるところからやって、後は若干の調整をして見る、ということになるのだと思います。
いずれにせよ、儲かったお金はどこに行っているのか、これを常に見ておくということが、大事です。経営判断を誤らないために。
したがって、損益計算書だけでなく、常に貸借対照表も見て、お金がどこに行っているのかを、前月・前年と比べて、どの科目が増え、どの科目が減っているのかを見れば、それは大よそつかめてくるはずです。
是非、キャッシュベース経営をやってみてください。
編集後記
正月休みが終わったと思ったらまた3連休、ちょっと調子がくるう感じですが、結構この3連休はいいですね。
正月にやろうと思ってできなかった宿題を、この3連休でかなりできましたので、また今年のスタートダッシュに活かせそうです。
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