実践!社長の財務
売価還元原価法の本当の意味【実践!社長の財務】第344号
2010.06.07
皆様、おはようございます。
税理士の北岡修一です。
きょうは時間がありませんので、早速本文に入りたいと思います。
ということで、本日も、実践!社長の財務いってみましょう!
売価還元原価法の本当の意味
京セラでは、期末在庫(製品や仕掛品)の評価方法に、売価還元原価法を採用しています。
多くの企業では、在庫の評価を、標準原価計算などに基づく、コストの積み上げ方式により、評価しています。
それに対し、売価還元原価法とは、期末の在庫評価を、その製品の売価に、あらかじめ設定した原価率を乗じて計算する方法です。
実際のコストの積み上げではなく、期末のその製品の売価によって、在庫評価が決まってくるのです。
これは、京セラ、アメーバ経営独自の考え方によるものです。
すなわち、アメーバ経営では、原価がずっと同じことはありえないと考え、常にあらゆる工夫をして、コストダウンをすることが重要である、という考えに基づいています。
個々の製品の売価というのは、多大な努力を注いで決められている。
したがって、その売価で、客先の満足する完璧な製品を、最小の経費で作れるようにしなければならない。
その結果として、利益が生まれる。
これこそが、経営の基本であり、その意味で、売価も原価も固定したものではありえない、という考えに基づいているのです。
大変厳しい考え方ですよね。
単に計算が簡単だから、という理由で売価還元原価法を採っているのではなく、このような経営に対する基本的な考え方が表われたものなのです。
この売価還元原価法を採ることにより、たとえマーケットプライスが下がったとしても、売値を上回る原価で、在庫が計上されることはありません。
コスト積み上げ方式ですと、それもあり得るのです。
すなわち、B/Sが過大になる、ダブつくという結果を招きます。
売価還元原価法を採ることにより、常に発生しうる価格の低落を、在庫評価に自動的に織り込むことができる、ということなのです。
是非、売価還元原価法の本当の意味を、今一度考えていただければと思います。
編集後記
6月紫陽花の季節ですね。今週末は、紫陽花を見に鎌倉に行こうと思います。
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