実践!社長の財務
震災支援税制 政府案【実践!社長の財務】第388号
2011.04.11
皆様、おはようございます。
税理士の北岡修一です。
今年の税制改正は、ただでさえ衆参議院のねじれ現象で成立が危ぶまれていましたが、この震災で審議そのものもストップしてしまいましたね。
ただし、3月末で期限切れとなる税の減免措置(いわゆる日切れ法案)については、これを3カ月延長する法案が3月31日に参議院で可決されています。
皆様に関連しそうなところでは、たとえば次のようなものです。
●中小企業の法人税の軽減税率(所得金額が年800万円以下の部分の税率を22%から18%に軽減)
●住宅用家屋の登記に関する登録免許税の軽減
●不動産譲渡や建築請負工事の印紙税の軽減 他
ただし、「平成23年度税制改正案」については、まったくわからない状況になってきましたね。
果たして3ヶ月で成立させることができるでしょうか...
震災支援税制 政府案」
先週4月9日に、緊急支援税制の政府案が明らかになりました。週明けから与野党との本格的な調整に入り、4月中に国会へ税制特例法案を提出し、5月中に成立する見通しです。
今日はそれを、ざっとご紹介します。
●法人税関連
大震災による損失額に相当する額を、2年間までさかのぼって法人税を還付する。
大震災が発生した3月11日から1年間に終了する事業年度中に発生した損失が還付の対象となる。
阪神大震災の際には、盛り込まれなかった地方法人税にも減免措置が設けられる。
●住宅ローン減税
大震災で損壊した住宅についても、住宅ローン減税の適用が継続されるようにする。ローン減税は住宅への居住が条件だが、特例でこれを緩める。
所得税については、阪神大震災時にも同様の措置が取られたが、今回は住民税にも広げる。
●その他住宅関連
自宅を建て替える際に、親から資金の贈与を受けた場合の贈与税の減免措置を設ける。
津波で大きな被害を受けた土地や家屋の固定資産税や都市計画税を免除する措置も設ける。
●雑損控除関連
住宅や家財の損害額を「雑損控除」として所得から差し引ける所得税の減税措置を、前倒しで適用する。
本来は、大震災が発生した平成23年分の所得からの適用となるが、平成22年分の所得からの控除を認める。
平成22年分の源泉徴収が済んでいるサラリーマンは、確定申告すれば還付を受けられる。
損害が大きく、1年では控除しきれない場合の繰越期間も現行の3年から5年に延長する。
平成22年分の所得をもとに課税する、平成23年度の住民税でも同様の特例を設け、減税の恩恵を1年前倒しで受けられるようにする。
●寄付を促すための優遇税制
個人が東日本大震災関連の寄付をした場合に、所得税額の25%を限度に税額控除の対象とする。中央共同募金会などへの寄付金が対象で、平成23年から25年までの所得税に適用する。
国が指定したNPOへ寄付した場合にも税額控除できる。
●自動車関連
津波などの被害を受けた自動車の買い替えを支援するため重量税を免除し、取得税を非課税とする。
被災した自動車の重量税を、車検の残り期間に応じて還付する。
●船舶や航空機
船舶などの再建造や再取得の際にかかる登録免許税を免除する。
●ガソリン税
ガソリン価格の高騰が続いた場合に、揮発油税などを減税する「トリガー税制」を廃止する。
ガソリン価格が3カ月続けて1リットル160円を超えると、ガソリン税の本来の税率に上乗せしている旧暫定税率分の約25円を減税する仕組みで、「トリガー税制」と呼ばれています。
これが実際に発動されれば、4,500億円程度と大幅な税収減につながるほか、価格の安定性をゆがめるといった批判が出ているため、廃止しようというものです。
以上、こんな方向で考えられているという情報です。
民主党案だけでなく、自民党や公明党の案も取り入れられて
いるので、成立する可能性は高いと思われます。
編集後記
震災関連については、いろいろデマも流れているようですね。
阪神の時と違って、ネットが発達していますので、あっという間にデマが広がってしまいます。おかしいなと思った情報はよく確かめてから、人に伝えないと、思わずデマの拡散に協力することになってしまいます。注意しましょう。
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