実践!社長の財務
本当にわかりにくい付加価値【実践!社長の財務】第497号
2013.05.13
おはようございます。
税理士の北岡修一です。
今日は、5月13日。気が付いてみると、もう5月も中盤ですね。
3月決算もヤマ場の週です。
最も多い3月決算の前に、最も長い連休GWがある...
今週からが、全国の会計事務所が最も大変な時期かも知れませんね...。
ということで、本日も「実践!社長の財務」いってみましょう!
本当にわかりにくい付加価値
当社も、もっと付加価値を高めていきたい、とか、
付加価値をどれだけつけられるかが、勝負だ!
みたいな言い方は、よくしますよね。
付加価値と、一般的に言う場合には、何となく理解できると思いますが、これが計算式になると、ちょっと難解になります。
そもそも付加価値とは、企業が新たに生み出した価値、付け加えた価値を、表すものです。
企業が生み出した総利益の内、自社で新たに付け加えた利益は、いくらあるのか、それが付加価値です
この付加価値の計算式は、大きく次の2つに分けられます。
控除方式と、加算方式です。
<控除方式:例>
付加価値=売上高-原材料費-外注加工費-水道光熱費-修繕費-商品仕入高
<加算方式:例>
付加価値=経常利益+人件費+金融費用+賃借料+租税公課+減価償却費
控除方式は、外部から購入した価値(すでに外部で付加価値が付けられているもの)を、売上高から引いて、自社の付加価値を計算しよう、というものです。
加算方式は、付加価値を構成しているもの(付加価値の中から負担するもの)を、利益に加算していって、付加価値を計算しようというものです。
わかったような、わからないような説明かも知れませんね(笑)。
ただ、何を控除するか、何を加算するかは、考え方によってまったく違ってきます。
一般的な指標でも、中小企業庁方式だったり、日銀方式だったり、いくつかの方法があります。
ひと言で「付加価値」と言っても、実は計算の仕方でまったく数値が違ってきてしまうのですね。
ベースが違うのであれば、比較しても意味がなくなってきます。
この点は、注意しないといけないですね。
たとえば、労働分配率なども、付加価値の計算によってまったく違ってきます。
労働分配率は、人件費/付加価値 で計算します。
付加価値の内から、いくら人件費に配分しているかの率 です。
これも40%~60%が適正、と言われますが、付加価値の計算方法によって、実は全然違うのです。
違ったベースで計算している労働分配率を比較して、高い低いと言っても、意味がありませんし、誤った判断をしてしまうかも知れません。
本当に数値の比較は、注意した方がいいですね。
とりわけこの付加価値、指標と比較する時は、どのような方式で計算した付加価値なのか、それをよく確かめることです。
そして自社で使う場合には、自社に最も適した方法を考えてそれを一貫して使ってください。
私は、製造業でなければ、売上総利益=付加価値 と考えて計算するのが、一番簡単で、わかりやすい、会計のわからない人にも納得してもらいやすいな、と思っていますが...。
編集後記
気が付いてみたら、あともう少しで500回連載ですね。毎週ですから、十年弱ということ...。
我ながらよく続いていると思います。
とは言え、500号も単なる通過点に過ぎませんが...。
なんて言うと、ちょっとカッコ良すぎますかね?(笑)
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