実践!社長の財務
財務健全性を表わす指標とは?【実践!社長の財務】第597号
2015.04.13
皆様、おはようございます。
税理士の北岡修一です。
この時期からいよいよい3月決算に突入、ということなってきます。
3月決算は比較的大きな会社が多いですから、外部などへの発表や連結をするために、どんどん締切時期が早まっていきます。
また、これも集中するから大変ですね。
ということで、本日も「実践!社長の財務」行ってみたいと思います。
財務健全性を表わす指標とは?
建設業の経審の財務状況分析、最終回です。
経審の財務分析項目は、8つありますが、今日は5番目と6番目です。
7番目、8番目はちょっと触れる程度で良いかと思います。
5番目と6番目の項目は、財務健全性を表わす指標です。
1つが、自己資本対固定資産比率です。これは次の計算式で表します。
自己資本
自己資本対固定資産比率 = ────── × 100
固定資産
この指標は、土地や建物、設備、機械などの固定資産が、どれだけ自己資本で調達されているか、を表わす指標です。
固定資産より、自己資本の方が多い方が、いいわけです。
自己資本の方が多ければ、その範囲で固定資産が調達されている、ということになります。
固定資産は、長期に渡って資金が固定されるわけですから、できるだけ長期の資金、できれば返さなくていい資金、すなわち自己資本の範囲で調達できれば、大変健全です。
ちなみに自己資本とは、貸借対照表の純資産の部の合計のことで、基本的には資本金と利益の蓄積である利益剰余金からなっています。
返さなくていいお金なのです。
この指標は、100%以上が望ましいわけであり、200%以上であれば、長期的に安定した企業と言えるでしょう。
経審での上限値は、350%となっています。
財務健全性を表わすもう1つの指標は、やはり自己資本比率です。
このメルマガでも、最も重要な指標であると、何度も言っていますが、やはり経審でも取り上げられています。
自己資本
自己資本比率 = ────── × 100
総資本
貸借対照表の右側の総合計である、総資本に対して、自己資本が占める割合ですね。
貸借対照表の右側は、企業が資金をどのように調達してきたのかを、表しています。
その中には、負債の部(他人資本)と、純資産の部(自己資本)があります。
他から借りてきて調達したものか、自己が出したあるいは生み出して調達したものか、という違いです。
したがって、総資本に占める自己資本の割合が高いということは、返さなくていい資金が多い、ということです。
これが多ければ多いほど、資金繰りは楽になっていきますね。
イコール財務の健全性が高い、ということです。
自己資本比率は、最低でも30%、資金繰りを安定させるためには、50%以上目指せと、いつも私は言っております。
経審でも、上限値は68.5%ですので、その数字を目指していきたいですね。
ということで、経審の財務状況分析の主な6項目は終わりました。
あと2項目ありますが、それは、規模を重視した指標です。
建設業は、工期が長くかかること、大規模な工事も多いことなどから、やはり企業規模も評価に入ってきます。
これは致し方のないところですね。その2つは紹介する程度にとどめたいと思います。
1つは、営業キャッシュフローの額(億円単位)であり、もう1つは、利益剰余金の額(億円単位)です。
いずれも絶対額であり、財務が健全な大きい会社ほど有利です。
まあ、これは一朝一夕では高くなりませんから、コツコツ実績を貯めていくことが大事ですね。
ということで、また来週から違うテーマでやっていきます。
編集後記
父が入院してもうすぐ3ヶ月。何かあっという間という気もしますが、いよいよ退院が近くなってきました。介護の準備などもありなかなか大変ですね。でもそこはいろいろな人が助けてくれるので本当に助かります。父もまだまだ仕事の意欲もあり(実は同業です)ますので、それが何より安心ですね。
メルマガ【実践!社長の財務】登録はコチラ
⇒ https://www.mag2.com/m/0000119970.html