実践!社長の財務
P/Lはプロセス、B/Sはその結果【実践!社長の財務】第640号
2016.02.08
皆様、おはようございます。
税理士の北岡修一です。
「引き算する勇気」(岩崎邦彦著、日本経済新聞出版社)という本を読み、なるほど!と感銘を受けました。
副題に「会社を強くする」という言葉があり、それに引かれて読んだのですが、正に財務にも言えるなと思います。
それで、本日のテーマにしました。
ということで、本日も「実践!社長の財務」よろしくお願いいたします。
P/Lはプロセス、B/Sはその結果
P/L=損益計算書は、企業活動のプロセスを表しています。
その期において、どんな活動をしたか、その内容を表しているわけですね。
企業は、お客様に商品・サービス・お役立ちを提供するために、様々なことを計画し、実行していきます。
そのためには、人が動き、経費がかかってきます。
1年間通してみれば、その活動には多くの人がかかわり、複雑になっていることでしょう。
したがって、P/Lをじっくり見るためには、部門別だったり、商品別、地域別、工程別など、細かいところまで遡って見ていかないと、わかりません。
特に月次などでP/Lを活用して、利益を上げていこうとすれば、できるだけ詳細なものが必要になってきます。
P/Lがプロセスであれば、B/S=貸借対照表は、結果です。
様々な企業活動の結果、現在このような状態になっている、というのがB/Sです。
B/Sが目指すものは、シンプルです。
B/Sは、余分なものをそぎ落とした、シンプルなものであることが理想です。
真に強い会社のB/Sは、原則シンプルです。
シンプル=美しい、とも言えますね。
最もシンプルなのは、現預金と純資産のみ、という状態ですね。
そうなれば、絶対につぶれることはありません。負債がないのですから(笑)。また、いつでも解散することもできます。
とは言え、昨今の会計ルールでは上記のようなB/Sはできません。最低限計上すべき負債などがありますから。
B/Sの余分なものは、是非、そぎ落とすことを考えていってください。そうすれば会社が強くなっていきますので。
売掛金なども、本当はない方がいいのです。
すべて現金売上であれば、売掛金はゼロになります。
そうすれば、貸倒れの心配はありませんし、資金繰りは楽になります。
在庫も持たない方がいいですね。受注発注、売る時仕入れる、売ってから仕入れが立つ、というような状況です。
在庫がなければ、資金は眠りませんし、倉庫もいらない、過剰在庫やデットストックも発生しません。
少しでもそれに近づけられないか、考えてみてください。
固定資産もそうです。土地建物や機械、器具備品など自社で 所有しなければいけないのか、どうか?
固定資産は長期にお金が眠ります。そのために借入も必要になり、金利が発生します。メンテナンスも必要です。
”持つ”ということは、大変なコストがかかることになります。
さらに余分な科目、貸付金や立替金や仮払金、これらの科目が賑やかな会社は、正直あまり儲かっていない会社が多いですね。
現状儲かっているように見えたとしても、B/Sをきっちり監査したら、ボロボロと損が出てくるのではないでしょうか?
B/Sがシンプルな会社は、経営者の経営に対する意識が高く研ぎ澄まされている感があります。
B/Sは事業の結果だからしょうがない、ではなく、経営者の考え方が、もろに反映されているものです。
何事も方針や考えなしで進むものではなく、経営は経営者の方針や考えで行われるものです。
したがって、B/Sを見れば、その経営者がどのように考えているのかが、わかってしまいます。
このB/Sが今の自分の考えなんだ、とよく認識した上で、どのような会社、B/Sを目指すのか、考えていただければと思います。
編集後記
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