実践!社長の財務
減価償却と投資【実践!社長の財務】第644号
2016.03.07
皆様、おはようございます。
税理士の北岡修一です。
いよいよ3月年度末に近づいてきました。この時期は、どこの業界でも何だか慌ただしくなりますね。
年度末までに、という切羽詰まったものが出てきます。もちろん、大企業の決算などが集中するというのもありますし、官庁や公企業の予算執行、などもあるのでしょうね。
また、新入社員が入ってきたり、人事異動、それに伴う転勤、転居などがあったり、どこの業界も大忙しですね。
せっかくですから、それに便乗してしっかり利益も上げていきましょう!
ということで、本日も「実践!社長の財務」よろしくお願いいたします。
減価償却と投資
減価償却費というのは、皆様ご存知かと思います。
建物や機械装置、器具備品などに投資をした場合に、これらの投資額を一時の費用とせずに、それぞれの資産の耐用年数に渡って費用化していくものです。
したがって、減価償却費の特徴は、費用化する時には、資金の支出は伴っていない、ということです。資金は購入した時に支出しているので、費用化する時は資金の支出はありません。
そこで、毎期どのくらい投資ができるかを判断する時に、減価償却費が1つの判断要素になります。減価償却費は、費用に計上されているけれども、その分のお金は出ていないので、その範囲で設備投資をすれば、十分お金は回る、ということです。
すなわち、損益計算書でしっかり利益が出ていれば、損益的には会社はやっていけるわけです。ただし、会社は損益だけでなく、資金が回っているかも、常に注意していなければなりません。
損益はプラスであっても、すぐに経費にならない設備投資がたくさんあったのでは、資金は回っていかないことになります。
したがって、利益が出ていて、その中で資金が出ていない減価償却費の範囲だけ、資金を使う分には、損益と資金がイコールになるので、大丈夫ということです。
これは簡単な判断基準としてはいいのですが、現実には、それだけでは資金の動きがとらえられません。
というのは、設備投資をする時に銀行借入なども使うからです。借入れがあるということは、返済もあるということで、それも資金繰りには考慮しなければなりませんね。
ですから、次の段階の考え方としては、税引後利益に減価償却費を足して、そこから借入金の返済額を引きます。
この金額が、設備投資に回せる金額になります。
予定の設備投資額に、それが足りない場合は、不足分について借入金などの資金調達を考えていきます。
もちろん、自己資金を使うという手もあります。
このように、減価償却費や借入金の返済額などが年間でどのくらいあるか、考えていけば、大きな意味での資金計画は作っていくこができます。
是非、御社のB/S、P/Lを使って、設備投資や資金計画を考えてみてください。
編集後記
今は確定申告に追われていますが、この1週間でほぼ終わりですね。と思いきや、いつも1つ忘れているのが自分の申告ですね…(笑)。
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