実践!社長の財務
美術品等の減価償却について【実践!社長の財務】第648号
2016.04.04
皆様、おはようございます。
税理士の北岡修一です。
4月に入りました。4月というと私たちの業界で気にするのは、新年度の税制改正がスタートする時期、ということです。
今年は小ぶりの改正ではありますが、4月以降開始する事業年度から法人税率が下がったり、4月以降取得する建物附属設備や構築物は、定率法が使えず定額法に一本化されたり、いくつか注意すべき改正がありますね。
是非、改めて復習して、しっかり押さえておいてください。
ということで、本日も「実践!社長の財務」よろしくお願いいたします。
美術品等の減価償却について
税制改正といえば、これは平成27年度の改正ですが、美術品等が減価償却できるようになっています。
書画骨董などの美術品については、そもそも「時の経過によりその価値が減少しないもの」とされていて、減価償却はできない、ということになっていました。
ただし、書画骨董に該当するか明らかでない美術品については、取得価額が20万円未満(絵画については号2万円)のものだけが、償却可能とされていました。
これが平成27年度の改正により、償却できない美術品等は、次のものになりました。
(1)古美術品、古文書、出土品、遺物等のように歴史的価値または希少価値を有し、代替性のないもの
(2)(1)以外の美術品等で、取得価額が1点100万円以上であるもの
通達の書き方はちょっと読みづらいですが、要は希少性のある価値が減少しない美術品等以外は、100万円未満のものは、償却ができるようになった、ということです。
これは、平成27年1月1日以後に取得する美術品等についてが原則です。
ただし、重要なのは、以前から持っている美術品等についても適用することができる、すなわち償却できるということです。
それも、チャンスは1回しかありません。
美術品等については、皆様の会社でも器具備品として資産計上されているが、償却はしていない、という状況だと思います。
これが、平成27年1月1日以後、最初に開始する事業年度において、減価償却資産にした場合には、その後減価償却をしていくことができるのです。
逆に言えば、最初の事業年度に償却をしないと、その後も償却はできない、ということです。
これから行う3月決算で言えば、平成27年4月~平成28年3月の期が最初の事業年度です。
したがって、1点100万円未満の美術品等がある場合は、今回の決算で償却をしておかなければなりません。
また、資本金1億円未満の中小法人については、30万円未満の資産については、一括償却が可能です。これは平成28年度の税制改正で2年間延長されています。
したがって、1点30万円未満であれば、過去に取得した美術品等を、一括損金にすることが可能なのです。
是非、この3月決算で忘れずに処理をしてください。
なお、美術品等の耐用年数は、主として金属製のものであれば15年、その他のものであれば8年として扱われます。
編集後記
桜も満開で皆様お花見はしましたか?週末はちょっと寒い感じもあったのですが、外歩いて桜を見た後、家の中で飲むということで、まあ疑似お花見ですかね(笑)。でも、飲んでしまえばほとんど見てませんので...。
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