実践!社長の財務
ゴルフ会員権の譲渡損に注意【実践!社長の財務】第656号
2016.05.30
皆様、おはようございます。
税理士の北岡修一です。
消費税の10%への増税、2019年10月まで2年半延長するということが伝えられたようです。6月1日発表とか。
8%増税の影響が、私どもの顧問先でも結構大きく尾を引いていましたから、今の状況を考えるとそうした方がいいかなという気がします。
やるのかやらないのか長引かせず、早く決めて次の段階に行った方がいいですね。
ということで、本日も「実践!社長の財務」よろしくお願いいたします。
ゴルフ会員権の譲渡損に注意
昔買ったゴルフ会員権が、買った金額のまま貸借対照表に載っているケースは、結構多いものです。
ゴルフ会員権はバブル崩壊などにより、購入した金額から時価が大きく下がってしまったり、民事再生や実質破綻、買収等により、その中身が大きく変わってしまったものが多いですね。
ただ、会社としては、いろいろ変わったにせよまだプレーができるため、会計処理としては何もせず、そのままにしている、ことも多いのではないでしょうか?
こんな時に、会社の利益が出たため、ゴルフ会員権を売って譲渡損を出し、節税しようなんていう場合には、注意しなければなりません。
特に注意すべきは、そのゴルフ場を経営していた会社が、過去に民事再生を申請し、再生計画の認可決定を受けて、預託金の一部を切捨てたような場合です。
このような場合には、その切捨てられた事業年度において、切捨てられた金額を、貸倒れ処理(損金処理)しなければなりません。
というか、その事業年度でなければ、損金として計上することができないのです。
民事再生に関するいろいろな書類が送ってくるけれども、もう買った金額は取り戻せないとあきらめて、ただファイルしておくだけ。
必要な書類は出すけれども、あとは何もしていない、というケースが多いと思いますね。
いずれ処分した時に、落とせばいいと思っているかと思います。
しかし、いずれ売却した場合に、その預託金の切捨て部分に相当する金額は、売却した事業年度の決算では損金に落とせないのです。
ゴルフ会員権譲渡損として落としていると、税務調査において否認されてしまいます。
したがって、今帳簿に載っているゴルフ会員権は、いつ買ったもので、そのゴルフ場は過去どのような経緯を辿ってきたのか改めて調べてみることをお奨めします。
過去に再生計画の認可決定により、預託金が切捨てられていないか、切捨てられていたらその時にしっかり、切捨て部分の金額を帳簿から落としているか、を確認してみてください。
もし落としていないとしたら、それが5年以内であれば、税務署に対して、更正の請求をして遡って損金に落としておくことです。
5年より前であれば更正の請求はできませんから、今期に落として、税務否認しておいた方がよいでしょうね。
残しておくと将来間違った処理をしてしまう可能性があります。
ゴルフ会員権の譲渡損を多額に出す時は、よほど注意しておかなければいけませんね。
編集後記
妻の実家が熊本にあり、今は半分空き家になっていますが、先日兄弟が行ってきた写真を見せてもらったところ、家は壊れていないもの、大きなテレビが倒れていたり、天井が落ちたり、タンスが倒れたり、中はメチャクチャでした。どれだけすごい地震だったのか想像できます。その2週間くらい前にはその実家に行っていましたので...。もう取り壊した方がいいのかと思う位です。
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