実践!社長の財務
黒字法人の割合は、実は約6割!【実践!社長の財務】第678号
2016.10.31
皆様、おはようございます。
税理士の北岡修一です。
今日は10月最後の日。いよいよ今年もあと残すところ2か月となってきました。
急に冬になった感じですね。
気温の変化で風邪など引かないよう、気を張っていきましょう!
ということで、本日も「実践!社長の財務」よろしくお願いいたします。
黒字法人の割合は、実は約6割!
約1か月前、国税庁から平成27事務年度の申告事績が発表されました。
それによると、法人税の申告件数は、約283万件で過去最高だったそうです。
また、申告所得金額も、約61兆5,400億円で2年連続で過去最高を更新したとのことです。
景気がいいんだか、悪いんだかよくわからない、という話を最近よく聞きますが、申告所得総額だけを見れば、アベノミクスが奏功し、景気が良くなっているように思います。
公表されている黒字申告割合も、5年連続で増加しています。
ただし、黒字申告割合などは、大企業(国税局所管法人)の方が圧倒的に高く(67.0%)、中小企業(税務署所管法人)はまだまだ低い(31.8%)のが実態です。
申告所得が増えているといっても、中身は大企業が中心で増やしているという感じがします。
中小企業はまだまだ消費税増税の後遺症が残っていて、苦しんでいるところも多いように思います。
ところで、よく黒字の会社の割合は3割で、7割の会社は赤字だ、ということが言われています。
上記の27年度の発表でも、全体の黒字申告割合は、32.1%であると、発表しています。新聞もそのように発表します。
景気は良くなってきたといっても、黒字は3割しかないのか…
と思ってしまいますね。
ところがこれは、繰越欠損金控除後の所得が黒字の割合なのです。(上記の大企業・中小企業の割合もそうです)
どういうことかと言うと、単年度では黒字であっても、過去に出した赤字である繰越欠損金を控除すると、所得がゼロになってしまう会社は、黒字申告にカウントされていない、ということです。
一度でも赤字を出せば、その赤字(欠損金)は、9年間繰り越せますから、翌年度黒字になったとしても、繰越欠損金の方が多ければ、黒字申告にはならないのです。
翌々年以降も、繰越欠損金が残っていれば、同じです。
ある年だけ大きな赤字を出してしまうと、翌年以降黒字であっても、繰越欠損金が消えるまで黒字法人にはカウントされないのです。
では、単年度だけ見れば黒字だという法人の割合は、どれくらいあるのでしょうか?
平成27年度の報告に基づきますと、57.3%の法人が単年度黒字です。この数字にはビックリしませんか?
黒字の会社は30%くらいだと思っていたのが、実は倍の60%弱の会社が、単年度で見れば黒字だったのです。
たまたま1年だけ、大きな赤字を出してしまったので、黒字法人にカウントされていないケースは多いのではないでしょうか?
繰越欠損金があるといっても、過去の累積利益があり、繰越剰余金は十分あり、健全経営している会社も多いのです。
世間の数字にはだまされては、いけませんね。
「黒字の会社は3割しかないんだから、うちの会社が赤字を出したとしても、多くの会社もそうなんだよ...」
な~んて安心していてはいけません(笑)。
実は半数以上の会社は黒字なのですから、赤字の会社はやはり置いていかれてしまいます。
是非、4割の会社に入らないように、しっかり利益を出していきましょう!
編集後記
土日は「終わった人」(内館牧子著)という本を読み、考えさせられましたね...私なんかも仕事を取るとやることがなくなってしまうかも...(笑)。そうならないよう、このメルマガを粘り強く続けていこうと思います!
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