実践!社長の財務
今年から自社株評価が変わる【実践!社長の財務】第690号
2017.01.23
皆様、おはようございます。
税理士の北岡修一です。
週末は、トランプ大統領就任で持ち切りでした...。
ついに幕が開いてしまいました。
これからどうなっていくのか、注目ですね。
ということで、本日も「実践!社長の財務」よろしくお願いいたします。
今年から自社株評価が変わる
平成29年度の税制改正案には、非上場企業の株価評価に関する改正が入っています。
しかも、早くも平成29年1月1日以後の相続、贈与等について、適用する、とのことです。(まだ、法律は可決されてはいませんが...)
ですので、今から株式の贈与などを行おうとした場合には、新しい評価方法によって、株価を計算しなければなりません。
では、どのように変わったのか?ポイントだけ、押さえておきましょう。
まず、変わるのは、株価評価のうち「類似業種比準方式」の計算に関することです。
主な評価方法には、類似業種比準方式と、純資産価額方式がありますが、その1つが変わります。
類似業種比準方式は、自社と類似する業種の上場企業の株価をもとに、
1株あたりの配当・利益・純資産の3つの要素を、類似業種のものと比較しながら、自社の株価を導き出していく計算方式です。
上記の3つの要素は、現行、配当1・利益3・純資産1のウエイトで、比準計算されています。
利益の割合を多くしているわけです。すなわち、1株あたりの利益が大きい会社の株価が高くなるようになっているのです。
このウエイトを、1:1:1にする、というのが改正の1つです。以前はそうだったので、それに戻す、という改正です。
これにより、利益を下げると株価が大きく下がる、という対策の効果が薄くなります。
配当は元々出さないこともできるので、この改正により1株ああたりの純資産のウエイトが、相対的に高くなる、ということになります。
いわゆる内部留保の多い会社の株価が高くなる、ということです。
また、ベースとなる上場会社の株価に、評価時期以前2年間の平均株価を採れる、という改正も入っています。
上場会社の株価の急激な変動により、自社株の評価が大きく変動してしまう事態を避けよう、ということです。
さらに上場会社の比準要素は、今までの単体ベースではなく、連結ベースの数値を使う、ことに改正されます。
連結の実績を取り込むことにより、株価は下がる方向になるのではないか、と言われています。
最後に、非上場企業の株価を計算する場合は、評価会社の規模別に、大会社・中会社・小会社に区分して評価することになっています。
その区分により、類似業種比準方式と純資産価額方式をミックスする割合を変えて、評価することになっています。
大会社は、類似業種比準方式あるいは純資産価額方式の有利な方を使えます。
中会社はさらに3つに分かれ、規模の大きいほど類似業種比準方式のウエイトを大きくして評価することができます。
概して、類似業種比準方式の方が株価が低くなる傾向にあり、このウエイトを多く取れる方が、有利になります。
小会社はさらに、類似業種比準方式のウエイトが低くなります。
このように、非上場企業の株価評価は、会社の規模が大きくなればなるほど、有利に評価できるようになっています。
今回の改正では、大会社および中会社の適用範囲を拡げるということになっています。
どのように拡げるのかは、まだ明確にされていませんが、株価は低くなる改正です。
以上、今年から上記のように変わりますので、評価の詳細が明らかになれば(3月末か)、早速、新評価方式で株価を計算して見ることをお奨めします。
編集後記
昨日は、お互いに子供が保育園の時からお付き合いのある近所の方の家で夕食を共にしました。そこの子は(もう結婚してますが)、ご主人と共にメキシコに赴任しています。ちょうど日本に帰ってきていたので、一緒に食事をしたのですが、やはり話題はトランプですね!メキシコ人がアメリカをどう思っているのか、よ~くわかりました...。あれだけ言われていますから、まあ、決していいはずがありませんよね...(笑)
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