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決算賞与と事前確定届出給与【実践!社長の財務】第698号

決算賞与と事前確定届出給与【実践!社長の財務】第698号

2017.03.20

皆様、おはようございます。
税理士の北岡修一です。

今日は3連休最後。春の陽気で、天気も良さそうですし、桜はまだ咲いていなくても、お弁当持って外に行きたい気分ですね。

でも私はちょっと...あとは編集後記で。

ということで、本日も「実践!社長の財務」よろしくお願いいたします。

決算賞与と事前確定届出給与

目標以上の利益が上がれば、経営者としては、社員の皆に決算賞与を出してあげたいと思うものです。

ちょうど3月決算期末も近づき、そんなことを考えている社長も多いのではないでしょうか?

ただ、決算賞与を出すといっても、できれば決算期末ギリギリまで待って、いくら利益が出るか確定してから、各人の評価もしつつ、出したいところです。

税法上、賞与は期末に引当金を立てても損金に算入することができないので、期中に支給することが原則です。

ただし、次の2つの要件を満たせば、期末に賞与を未払で経理処理して、損金に算入することができます。

1.決算期末までに各人に対して賞与の支給額を通知すること

2.決算日後1か月以内に支給すること

上記の条件を満たしたということで、決算賞与を未払計上している会社も多いと思います。

ただ、1の期末までに各人に支給額を通知する、ということが実際にはできていない会社が多いのでは? という気がします。

これは、損金に計上するために絶対的に必要な要件ですから、必ずやっておくことが大事です。
何らかの証拠も残しておいた方がよいでしょう。

さて、社員はそれでいいのですが、役員も当然、がんばったのですから、自分も含め役員にも支給してあげたいところです。

しかし、役員に対する賞与は、損金不算入となります。せっかく支払う賞与が、損金にはならない、ということです。

上場会社などであれば、そうせざるを得ないのでしょうが、非上場会社であれば、もっと工夫して役員に支払う賞与も損金に落としたいところです。

そこで、事前確定届出給与をもっと利用してもいいのではないでしょうか?

これを使っている会社は、意外と少ないですね。

事前確定届出給与とは、役員に対して支払う賞与を、あらかじめ税務署に届出て、そのとおりに支給することにより、損金に計上することができる給与です。

社員と同じ時期、たとえば7月と12月に賞与を支給することを決めて届けることもできるのです。

届出期限は、事業年度開始から3か月以内に支給時期や各人ごとの支給額を決め、そこから1か月以内に届出る必要があります。

この事前確定届出給与を、決算賞与に使えないものでしょうか?

たとえば、平成29年3月期の決算賞与を、4月以降に届出て、3月末に未払計上できないか、ということです。

支給は5月でも6月でも適宜の時期にします。

ただ残念ながら、これは行うことができません。

事前確定届出給与というのは、あくまでも役員のその年度の業務執行に対する給与として取り決めて、届出るものだからです。

たとえ、前期の実績を新年度の役員給与や賞与のベースとしていたとしても、その給与や賞与は新年度分になります。

したがって、前期の3月末に未払いとして計上することはできないのです。

ただし、新年度の損金とすることは、当然できます。

したがって、前期の決算賞与代わりに、事前確定届出給与を決めて、新年度に支給して、新年度の損金とする、それだけでも利用価値はあると思います。

ただ、新年度の損金としても、新年度に赤字を出してしまっては、決算賞与の意義が半減してしまいますから、ご注意を!

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編集後記

この連休は、4月末に出す「事業承継の本」の最終チェックと修正、追加原稿の執筆に忙殺されています...いい天気ですが外にも行けず、家族からは非難の声も...(苦笑)原稿書くよりもそっちの方が苦しいところです。ということで、事業承継・自社株対策に関して、今いろいろと研究していますので、是非、上記セミナーにいらしてください。

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