実践!社長の財務
毎月のB/Sはどこを見るか?【実践!社長の財務】第730号
2017.10.30
皆様、おはようございます。
税理士の北岡修一です。
選挙において、ある党から内部留保に課税すればいい、という話が出ていましたが、とんでもない話ですね。
内部留保は、当期純利益から税金を引いて、配当金を支払った残りの利益です。それを純資産として、会社は蓄積することにより将来に備えているのです。
いわば課税済みの利益に、また税金をかけようということですから、完全な二重課税です。同族会社に限って、留保金課税というものがありますが、それすら中小企業には停止されています。
また、内部留保といっても、イコール現金ではありませんから、ほとんどの場合、在庫や固定資産、あるいはまだ回収されていない売掛金になっています。これに課税されれば、すぐにキャッシュ不足になってしまいます。
さらには、内部留保は将来のリスクや事業投資に備えるものですから、それに課税されれば企業の活力も失ってしまう、ということにもなります。
法人税率を下げても、こちらで課税すれば国際競争力も落ちていきます。いいことない税制だと思いますね。
まあ、その党が勝たなくて良かったですが(笑)。
ということで、早速、本日も「実践!社長の財務」よろしくお願いいたします。
毎月のB/Sはどこを見るか?
月次決算では、損益計算書(P/L)や貸借対照表(B/S)が出力されてきます。
P/Lは、売上から始まって、原価や経費を引いて、利益を計算していく表ですから、経営者にとって非常にわかりやすい表だと思います。
今月はいくら利益が出たか、何の経費がどれくらいかかったのか、利益率は何%か、目標に比べてどうだったかなど、経営者の皆様、独自にいろいろな見方をしているでしょう。
ただ、B/Sの方は、どういう風に見たらいいの?ということは良く聞かれます。
確かにB/Sの方は、とっつきにくいイメージがありますね。
何をどう見たらいいのかも、わかりづらいです。
B/Sは、まずは全体を見ましょうと言っています。
左右同じ金額ですが、まずは一番下の数字をみてください。これが総資産であり、総資本です。
全体で、これだけの資産を動かして会社を経営している、ということですね。そのお金がどこから来ているかが、右側です。
右側の上の方が負債の部です。すなわち、人から借りてきているお金、ということですね。
右側の下が純資産=自己資本です。自分(会社)が作り出したお金です。主として資本金と内部留保(利益剰余金)で構成されています。
この自己資本が多ければ多いほどいいので、やはり自己資本比率
(自己資本が合計に占める割合)には、常に注目しておいて欲しいですね。
ただし、月次で見る場合、正しい月次決算をやっていなければ、自己資本比率も正しく表示されません。当たり前ですが。
引当金をしっかり取るとか、月次においても利益に合わせて、法人税等を計上するとかしておかないと、正しくなりません。
その他B/Sとしては、まずやはり現金預金がいくらあるのかということは、見ると思います。それは必須です。
あとはバランス、売掛金と買掛金や未払金がどうか、資金繰り表は別途見ればいいですが、B/S上のバランスとして資金繰りは大丈夫かというのは、毎月見ていればわかってきます。
また、在庫の額などにも注意しておきます。もちろん、これも毎月帳簿あるいは実地で棚卸しをしていなければ、わからないことですが。
在庫がどのような水準で推移しているのか、少なければいい、多ければいい、というものではありません。この時期だったらどのくらいの在庫がなければいけないか、どの水準を超えているとマズいか、などはやはり抑えておかなければいけません。
その他企業によっていろいろあるでしょうが、B/Sのそれぞれの科目の増減で気になること、この科目には何が入っているのかという明細など、気になったところを質問していくことです。
経理や顧問税理士などと、そのような質疑などをしていくことが重要です。
毎月聞いていれば、だんだんわかってくるものです。
是非、遠慮せずに聞いて欲しいと思いますね。
編集後記
2週連続の台風に通り過ぎ、東京はいい天気になりました!
それにしても、土日が3週連続で雨になってしまい、土日がかきいれ時の商売にはつらいものがありますね。当社のお客様にも何社かあるので、心配です。今週は連休などもあるので、是非、いい天気で取り戻して欲しいですね。
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