実践!社長の財務
配当還元価格に注意【実践!社長の財務】第736号
2017.12.11
皆様、おはようございます。
税理士の北岡修一です。
来年度税制改正、紆余曲折しているようですね。
一旦は決まった、800万円以上増税も、公明党内部から懸念の声が多いようで、850万円以上にするようですね…。
それにしても、今年の税制改正大綱発表がいつか、まだよくわかりません。去年は12月8日と早かったのですが、今年は衆院選挙の影響で、少し遅くなっているようです。
いずれにしても、12月中には発表されるでしょう。
ということで、本日も「実践!社長の財務」よろしくお願いいたします。
配当還元価格に注意
先週、配当金の話をしました。
配当金をいくら出すかによっては、自社株の社内価格に影響を及ぼす場合があります。
社員持ち株会や、社員持ち株制度などで、社員が自社株を持っているような場合です。
社員に株式を持ってもらうような場合は、会社を退職した時や、新たに株式を購入する場合の、社内価格を決めていることが多いです。
多くは、当初の1株あたり出資額(旧額面価額)であったり、その倍くらいまでの金額のケースが多いです。
配当金の額によっては、その金額設定が不適切になることがあります。
非上場株式の売買では、基本的には相続税評価額がベースとなります。
この相続税評価額は、同族経営者グループの場合と、それ以外の株主では、違ってきます。
株主によって、いくらで売買したらよいかは、変わってくるのです。
同族経営者グループの場合は、支配権がありますので、評価額は高くなります。純資産価額方式や、類似業種比準方式という方法で評価します。
それに対して、社員など経営者以外の株主は、少数株主で会社の支配権はありませんので、株価は低くなります。
少数株主に使われる評価方法は、配当還元方式です。配当金の額をベースに株価を計算していきます。
配当還元方式は、1株あたりの資本金に対して何%配当しているかで、株価を計算します。
この場合、10%が基準となり、10%配当していると、1株あたり資本金の額が、そのまま評価額となります。
たとえば、資本金1,000万円、1株5万円、発行済み株式200株の会社が、配当率10%で、配当金100万円(1株5,000円)を出している場合は、1株の評価額は5万円ということです。
配当率を20%にすると、1株10万円の評価になります。
配当をしていない場合でも、最低評価額は2.5万円となります。
配当金は2年間の平均でやったり、記念配当などは含まないことになっていますが、基本は配当率10%で、いわゆる昔の額面評価と覚えていればいいと思います。
話が長くなってしまいましたが、要は配当率を10%よりも多くしていると、株価は上がりますよ、その場合は社内の流通価格に注意しなければいけません、ということです。
配当率を高くして、社内流通価格はそのままだった場合、売った人から買った人への贈与になって、贈与税の対象になってしまうことがありますので、ご注意ください。
編集後記
土曜日は母校で、客員教授になっている池上彰さんの講演会を聞いてきました。ちょうどエルサレム問題が起こった後でしたので、それに関する話を詳しくしていただけました。それにしても現地のことから、宗教、聖書のことまでよく知っているのでビックリですね!母校もキリスト教の学校であるので、附属の高校生が聖書の詳細なことを質問したのですが、見事に答えていたのにも、さすが!と思いましたね。私だったら、とても答えられない...(笑)。比べてもしょうがないですが…
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