実践!社長の財務
税抜経理が基本【実践!社長の財務】第738号
2017.12.25
皆様、おはようございます。
税理士の北岡修一です。
いよいよ今年も最後の週となりましたね。
毎月と同様に、月末近くなったということですが、やはりそこに年末が付くと、まったく違う気分になってきますから、不思議なものです。
年末年始は、日本人の心に深く刻まれた特別な期間なのだと思います。1年を振り返り、また新たな年の計を立てられることに、感謝したい気持ちです。
ということで、本日も「実践!社長の財務」よろしくお願いいたします。
税抜経理が基本
最近、何件かあったのですが、税込経理で会計処理をしている会社の問題です。
税込経理、税抜経理というものがありますが、消費税をどのように会計処理するか、ということです。
売上や経費などを、消費税を含めて計上し、損益計算書なども税込みで表示するのが、税込経理です。
税抜きで処理、表示するのが、税抜経理ということになります。
これは税法上はどちらでやってもよいのですが、一般的には、税抜経理でやっている会社が、ほとんどです。
上場会社はもちろん税抜経理ですし、ある程度の規模の会社になれば、通常は税抜経理をしています。
税込経理をしているのは、規模が小さな会社や、簡易課税を採用している会社、経理体制がしっかりできていない会社、などでしょうか。
ただ、たまにそれなりの規模であっても、税込経理をしている会社があります。
会計事務所に会計処理を全部任せてしまっている会社や、月次決算をしていないような会社が多いですね。
そのような会社は、あまり損益を見ていないので、どちらの処理方法でやっても気にもしていない、ということなのでしょう。
税込経理をすると、損益感覚を誤ってしまうことがあるのではないでしょうか?
税込経理をすれば、売上や経費のほとんどが8%水増しされて計上されてきます。
実力よりも売上が多くなって計上されます。だから、税込経理から税抜経理に変更を提案しても、売上が減ってしまうので、心理的抵抗があったりするのですね。
これはちょっと本末転倒です。消費税はあくまで預かっているお金ですから、それを売上と勘違いしてしまうのは、どこかで経営が狂ってくるのではないでしょうか?
また、税込経理をした場合は、決算をして支払う消費税は、租税公課という経費科目で処理します。
毎月の試算表では利益が上がっていたのに、期末で消費税の租税公課を計上したとたん、赤字になってしまうこともあるのです。
税込経理だと、毎月の利益は売上と仕入れの消費税の差額分も利益計上されていますから、利益が多く見えてしまうのです。
これも税込経理の弊害の1つです。もちろん、毎月消費税の未払いを計上する方法はありますが、税込経理をしている会社はそこまでやってないことがほとんどです。
また、在庫が多い会社などは、在庫に含まれる消費税分、決算においても利益が増えているように見えてしまいます。
会社経営をしっかりやっていくのであれば、税抜経理で毎月しっかり月次決算をしていくことが大事です。
消費税は2年後に10%になりますし、その先も上がっていく可能性があります。そうなると弊害はどんどん大きくなっていきます。
税込経理をやっている会社は、是非、今のうちに税抜経理に変更するようにしていただければと思います。
編集後記
本年も1年、このメルマガをお読みいただき、ありがとうございます。もう14年以上にもなりますが、700回以上もやっていると、最近は何を書こうかと、結構悩むことが多くなってきましたね。
そんな時は今まで書いてきたタイトルを、ずっと眺めながら、流れを考えていると、何となく書くことが思い浮かんでくる、そんな感じで、薄氷を踏むような思いでやっていますね(笑)。
ということで、また来年以降も頑張って書いてまいりますので、引き続き何卒よろしくお願いいたします。
では、皆様、良いお年をお迎えください。
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