実践!社長の財務
借入金の見合いを意識する【実践!社長の財務】第751号
2018.03.26
皆様、おはようございます。
税理士の北岡修一です。
いよいよ3月末。年度末であると共に4月から始まる新年度に向け、準備はぬかりないでしょうか?
決算月でなくても、新年度はまた新たなスタートという感じがしますね。気候も暖かくなりましたし、明るい気持ちで新年度も頑張っていきましょう!
では、本日も「実践!社長の財務」よろしくお願いいたします。
借入金の見合いを意識する
資金繰りが毎月心配なく回る、というのは、企業経営にとって大変重要なことです。
資金不足による不渡り、倒産などが起こらないようにするということはもちろですが、何より経営者が前向きな仕事ができるということが重要なのです。
資金繰りに不安があると、経営者は心配でそちらばかり気にしてしまいます。
不安だけならまだしも、実際に支払い日前に帆走しなければなならないようになると、もう経営どころではなくなってきます。
資金繰りが経営者の仕事になってしまうようでは、経営者は本来の仕事をしているとは、言えません。経営者は将来の道筋を考えていかなければいけないのですから。
そこで銀行借入を活用するわけですが、借入金の見合いをよく理解しておくが大事です。
借入金を何のために借りているか、ということですね。
借入金はB/Sの右側、負債の部に載っていますが、対応する左側、資産の部のどれのために借りているか、ということです。
固定資産の取得のために借りているのは、設備資金です。
これは借入をする時から、設備の見積りを出したり、実際に設備投資をした際の支払いを借入金でしますので、明確です。
ただ、運転資金の借入の場合には、この資金の見合いの部分が何なのかが、わかっていない方が多いのではないでしょうか?
運転資金とは、単に概念的なものではなく、次のように計算することができます。
運転資金 = 売上債権 + 在庫 - 仕入債務
特に銀行では、運転資金をこのように見ています。
すなわち、売ったけれど後で回収される売掛金と、まだ売れていないが既に仕入済みの在庫金額から、まだ払っていない仕入代金を差し引いた金額は、
何らかの方法でお金を用意しなければ、会社はまわっていかない、ということです。
運転資金を借りた時には、B/Sのこれらの科目の残などを見ながら、どこの資金のためにお金を借りているのかを、よく理解しておくことです。
上記の運転資金以上に、運転資金を借りて、本来の目的でない貸付金や仮払金などに行っているとすると、これはちょっと問題があります。
上記の運転資金については、同じ事業をやっている以上、常に同じくらいの金額があるでしょうし、会社が成長していけば、運転資金はさらに増えていくでしょう。
したがって、これに対応する借入金は短期ではなく、できるだけ長期で借りていくことが、資金繰りを良くしていくためには必要なことです。
もちろん、利益が出ていけば現預金も増えていきますので、それに応じて運転資金の借入を減らしていくことも可能でしょう。
どのくらい借入金を減らしていくかは、上記の運転資金と現預金残高を見合わせながら、考えていきます。
現預金残高は、このメルマガでも何度か書いたように、売上の2カ月分は、欲しいところです。
したがって、現預金残高が常時2カ月分を超えてきたら、その超えた部分を、運転資金の借入金返済に充てていっても良いのではないでしょうか。
まとめると、借入金のB/Sにおける見合いをよく見ておくこと、借入金と運転資金のバランスを見ておくこと。
それと共に、現預金残高が売上の何か月分あるかを見ておき、状況に応じて、借入金の返済期間を長期にしてもらったり、
現預金残高が必要以上に多くなれば、借入金を返済していくことなどを、B/Sを見ながらやっていく、ということになります。
編集後記
土曜日は銀座のあるホールでやったコンサートに、娘も最年少で入れてもらい私たち夫婦も聴きにいきました。世界のトップレベルの方々と一緒にやらせていただき、もちろんすばらしいコンサートでしたが、その中に娘がいるということだけで大変感動しました!本当にありがたいことですね。
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