実践!社長の財務
インボイス制度の登録申請10月から【実践!社長の財務】第933号
2021.09.20
9月も後半になってきましたが、10月からはいよいよインボイス制度の「適格請求書発行事業者」の登録申請が始まります。
インボイス制度は、もうご存知の方も多いかと思いますが、2年後の2023年10月1日から始まります。
インボイス制度、正式には「適格請求書等保存方式」といいます。
この制度が始まると、消費税の仕入税額控除を受けるためには、適格請求書=インボイスの保存が必要なる、ということです。
消費税は、売上に上乗せしてもらう消費税額から、仕入れや各種経費に含まれる消費税額を控除して、残額を納付する仕組みになっています。
その仕入税額控除をするためには、適格請求書=インボイスをもらって、保存しなければならなくなります。
このインボイスを発行するためには、発行する事業者が、税務署に申請して登録番号をもらわなければなりません。
登録番号をもらった事業者は、「適格請求書発行事業者」となります。
そのための申請が、来月2021年10月から始まるわけです。
このインボイスが発行できないと、仕入をした相手方が、仕入税額控除を受けることができなくなります。
たとえば、貴社が税込み110万円で売った商品について、購入した相手方は、本来であれば10万円の仕入税額控除をできるはずが、それができなくなります。
そうなると、相手方は消費税を10万円多く国に払うことになりますから、損が発生してしまいます。
そのような状況では、相手方は貴社からは仕入れずに、他の業者から仕入れることになるでしょう。
それでは売上が減ってしまいますので、何はともあれまずは登録申請をして、登録番号をもらう必要があります。
インボイス制度が始まるのは、まだ2年先ですが、早目に登録しておくことをお勧めします。
遅くても始まる6カ月前、2023年3月31日までには、申請しておく必要があります。
ここで問題になるのは、消費税の免税事業者は、登録番号をもらえない、ということです。
年間売上が1,000万円以下の事業者は、消費税の納税義務がなく、免税事業者となっていることが多いです。
そのまま免税事業者のままだと、インボイス制度のもとでは、インボイスが発行できないため、取引から除外されてしまう恐れがあります。
一定期間の経過措置はありますが、今後は免税事業者も消費税の課税事業者を選択して、登録番号をもらうかどうか、判断していかなければなりません。
なお、売上の相手先が一般の消費者、すなわちBtoCの事業であれば、相手先が仕入税額控除の必要がないため登録番号をもらわなくても、良いかもしれません。
もう1つ、逆の問題として、仕入先や外注先に免税事業者が多い場合は、どうするか、ということです。
たとえば、デザインなどを個人事業者に外注しているような場合、その方の年間売上が1,000万円以下であれば、免税事業者であることが多いでしょう。
現在の制度では、そのような場合でも、支払った金額に消費税が含まれているものとして、仕入税額控除ができるようになっています。
インボイス制度が始まれば、そのような仕入税額控除はできなくなります。
これから2年間で、そのような個人事業者に対してどう対応するか、個人事業者の方に制度の説明をして、登録番号をもらってもらうよう仕向けていくか、など対応を考えていかなければなりません。
2年はまだまだ先かと思っていると、あっという間に来てしまいます。
是非、インボイス制度について、よく勉強して間違いのない対応をしていって欲しいですね。
編集後記
これから今日のインボイス制度だの、新たな電子帳簿保存法だの電子取引だの、様々なことが変わっていきます。デジタル庁などもできていますので、マイナンバーの活用も含めた様々な変化が起こってくるでしょう。是非、しっかりついていきたいものですね。
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