実践!社長の財務
早期償却のすすめ【実践!社長の財務】第937号
2021.10.18
先日、以前私の勉強会に参加していた経営者が、
「北岡さんに教えてもらったように、償却を早くしていたので、今回のコロナ禍でも高い利益を出すことができ、本当に良かったです。」
と言っていただき、嬉しかったですね。
コロナ禍で売上が減っている中、利益を出すのは本当に大変なことです。
苦しい中でも何とか利益を出すことができれば、表面上だけでなく、会社の雰囲気、社員のモチベーションも違ってきます。
そうなれば、コロナ禍を乗り越えるために、何をしたらよいのかという、前向きな考え、施策が社内からどんどん出てきます。
それもあって、より利益を出すことができたようです。
減価償却は、取得した固定資産を、耐用年数に渡って経費化していく会計処理です。
お金は取得したときに出ていますが、それは資産に計上され、経費になるのは長い時間がかかります。
実質的にはお金がなくなって、戻ってこないのに、経費にできない、ということです。
その分、税負担も生じているわけです。
経営者としては、できるだけ早く経費に落としたいと考えるでしょう。
ところが固定資産には、それぞれ法定耐用年数というのが決まっていて、その年数で償却していかなければならないのです。
ただし、これはあくまで税法上の法定耐用年数です。
すなわち、国が勝手に決めた(もちろん、十分調査検討して(笑))耐用年数ということです。
そこで会社としては、「この資産はこの年数で償却する!」と決めて、償却しても構わないのです。
法定では7年だけれども、当社ではこの資産は3年で元を取るので、3年で償却するとすればいいわけです。
経営者としての判断ですね。
ただし、それはあくまで会計上です。
通常の会計処理、決算書の作成までは、その方式でやっても構いません。
その上で、税務申告をする際に、会計上償却した金額のうち、法定耐用年数による償却額を超える部分を、自己否認することになります。
税務申告上は、償却超過額は所得に加算する、ということです。
すなわち、法人税を払って、早期償却するということですね。これを有税償却といいます。
会計上(決算書上)は、経営者の考えでどんどん早期償却していく。
税務上は、税法に従わざるを得ませんので、法定耐用年数で償却していく、ということですね。
経営の結果は、あくまで決算書ですから、経営者や社員の皆様は、決算書を見て経営をしていって欲しいですね。
このように有税償却や、少額減価償却資産の特例(1個または1組30万円、年間300万円までは、資産計上せず費用処理できる)、一括償却資産の特例なども使いながら、早期に償却していくことは大事です。
償却した時は経費となり、利益を押し下げますが、償却が終われば、あとはすべて利益になってきます。
早期償却に耐えられる高収益体質を目指すことにより、償却が終わった時には、ものすごく強い収益構造、財務体質になっていきます。
もちろん、設備投資が終わることはありませんが、早期償却を継続することでで、財務体質が鍛えられていくことは間違いないでしょう。
是非、御社でも早期償却を考えることをお勧めします。
編集後記
急に寒くなってきましたね。気温の変化、季節の移り変わりの早さにびっくりです。風邪を引かないように、気を付けていきましょう!
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