実践!社長の財務
B/Sに未来を取り込んでいく【実践!社長の財務】第946号
2021.12.20
B/S(貸借対照表)は、会社を設立してから今までの企業活動の結果を表しています。
どれだけのお金をどのように調達して(負債、資本)、そのお金がどのように残っているか(資産)を、表しているわけです。
お金の調達は、借りたのか(負債)、出資を受けたのか(資本等)、さらに稼ぎ出してきたお金なのか(利益剰余金)が、B/Sを見ればわかるようになっています。
ただ、これは現在の姿ですね。中小企業のB/Sでは現在の姿を現すにとどまっています。
これに現在考えられる未来の要因、リスクをできるだけ取り込んでいこう、というのが国際的にも日本でも会計基準の流れです。
未来の要因とはどのようなものか?
身近なところでは、引当金です。将来に支払いの発生する要因が、既に当期に発生しているのであれば、当期の負債として認識しよう、ということです。
賞与引当金や退職給付引当金などが、そうですね。
これは中小企業でも、比較的行われています。
さらに、減損会計や税効果会計、資産除去債務などもそういった類のものです。
減損会計は、資産の収益性が低下して、投資した額の回収が見込めなくなった場合に、固定資産の価値を減少させる会計です。
将来発生する損失を、早目にB/Sに取り込む、ということですね。
また、資産除去債務とは、固定資産を法令上の義務により、将来除去する必要がある場合に、その費用を合理的に見積もって負債に計上しよう、というものです。
これも将来の発生する損失を、早目にB/Sに取り込んでいこう、ということです。
税効果会計は、上記とは若干違いますが、企業会計の利益にかかる税金と、実際の税金の差異をB/Sに取り込んでいく会計処理です。
将来の税金の戻りや、支払いを今からわかっているのであれば、B/Sに取り込んでいこう、ということですね。
上記の3つは、必ずしもやる必要はありませんが、その根本的な考え方は、理解しておくと良いと思います。
すなわち、現状のB/Sに満足するのではなく、将来の様々なリスクなどもB/Sに取り込んで、厳しくB/Sを見ていこう、ということです。
そうすることによって、自社の経営の問題点やリスクを知り、早目にそれに対処していく行動を取っていくことができるわけです。
上記のような高度なことまではいかなくても、自社の将来発生するリスクや、やるべきことなども考えて、B/Sに反映できるものは反映して、厳しく見ておこうということが大事だと思います。
甘い会計をして、自己資本比率などの数値が高まったと、安心しているようでは、ちょっと将来が心配になってきますね。
是非、自分の会社流に考えてみて欲しいところです。
編集後記
残すところ今年も後10日しかないんですね。何となく今、気が付きましたが、ちょっとビックリです。
仕事も実質的には、今週で終わりです。今週中に何とか片を付けないといけないですね。
今年のラストスパートをしましょう!
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