実践!社長の財務
役員社宅【実践!社長の財務】第957号
2022.03.07
おはようございます。
税理士の北岡修一です。
社長が自宅を建てる場合、個人で建てた方がいいのか、会社で建てて社宅扱いにした方がいいのか、という質問がたまにあります。
基本的には個人の自宅なので、個人で建てた方が良いと思っていますが、税務的には次のような扱いになります。
会社で建てた場合には、社宅として社長が会社に家賃を支払う必要があります。
この家賃については通達に取り決めがあり、豪華な社宅でなければ、非常に安い家賃を設定することができます。
会社は、社宅の減価償却費や固定資産税、維持費などを経費にすることができ、社長からの家賃収入は低くなるので、法人税の節税にはなります。
ちなみに、役員社宅の家賃は、社宅の広さによって変わってきます。
<小規模な住宅の場合>
木造など建物の耐用年数が30年以下の場合 132m2以下
耐用年数が30年超の建物 99m2以下
上記小規模な住宅の場合は、次の1~3の合計額以上の家賃を取れば、問題ありません。
1.その年度の建物の固定資産税の課税標準額×0.2%
2.12円×(その建物の総床面積(m2)/(3.3m2))
3.その年度の敷地の固定資産税の課税標準額×0.22%
<小規模な住宅以外の場合>
上記以外の場合は、次の1・2の合計額の1/12以上
1.その年度の建物の固定資産税の課税標準額×12%
法定耐用年数が30年超の建物の場合は、10%
2.その年度の敷地の固定資産税の課税標準額×6%
<豪華社宅>
床面積240m2超の建物や、プールがあったり、社長個人の好みが大きく反映されているような住宅は、通常相場の家賃を取ることになります。
豪華社宅でなければ、上記で計算した家賃は、相場よりもかなり低くなるのではないでしょうか。
社長が若く、終の棲家でなければ、会社で社宅を持つというのもありかと思います。
賃貸物件を社宅にする、というのもあります。
ただし、ある程度年齢がいってから建てるのであれば、法人よりも、個人の方が良いのではと思います。
というのも、相続税対策などもからんでくるからです。
自宅土地の評価は、相続税評価がかなり低くなるからです。
土地を個人が所有している場合に、個人が自宅を建てれば、その土地は相続税の評価において、特定居住用宅地となります。
特定居住用宅地は、330m2まで80%もの評価減をすることができます。
相続税評価額の2割で評価されるわけですから、土地が良いところにあり、高ければ高いほど、相続税の節税になります。
個人の土地の上に、法人が建物を建てた場合には、上記の特定居住用宅地にはなりません。
法人と土地の賃貸借契約を締結して、通常相場の地代を支払っていれば、土地についてはまず20%評価減をすることができます。
さらに、法人に貸しているということで、貸付事業用宅地になり、200m2まで50%評価減をすることができます。
法人が建物を所有する社宅であっても、このような評価減はできますが、個人で建てた場合の評価減には到底及びません。
また、建物についても個人で建てれば、現金から建物に変わり、評価は半分以下に下がるでしょう。法人で建てた場合は、これはありません。
このように、相続税対策のことを考えると個人で建てた方が良いということになります。
ただ、税のことを考える前に、法人と個人はやはり明確に区分をしておき、混同しないことが基本であると思います。
編集後記
3月確定申告あと1週間となってきました。コロナの影響で間に合わない場合は、個別延長ができるということで、若干ノンビリしている人もいますが、万が一のことを考えできるときに早目に終わらせておいた方がいいですね。
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